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治療後に「消える」精神科患者——オランダで6万人が支援の網から漏れる
社会 読了 2分

治療後に「消える」精神科患者——オランダで6万人が支援の網から漏れる

「回転ドア」現象の深刻化、業界団体と精神科学会が法整備を求める

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オランダの精神医療業界団体(GGZ Nederland)が実施した大規模な実態調査によると、重篤な精神疾患(EPA)を抱える成人のうち少なくとも6万人——全体の約4分の1——が、治療後に医療・支援機関の把握から外れている。退院後の生活基盤が整わないまま地域に戻った患者が、借金や住居喪失をきっかけに再び危機状態に陥り、急性期病棟へ繰り返し入院する「回転ドア」現象が深刻化していることが改めて浮き彫りになった。

業界団体で医療・安全担当のフースト・ハルキンク氏は「そうした環境は誰にとっても安定や安全とは程遠い。まして脆弱な人々にとってはなおさらだ」と述べ、頻繁な入退院を繰り返す現状を問題視している。同様の課題は、精神疾患を抱えたまま刑事施設を出所した人々にも及んでおり、報告書によればそのうち少なくとも半数が2年以内に再収監されている。

住居不足と「小さな問題」の連鎖

住居の確保が支援の出発点となる一方で、供給は需要に追いついていない。今年実施された別の調査では、重篤な精神疾患を持つ人に必要な社会住宅は年間約3,980戸とされているが、実際に供給されるのは例年約1,300戸程度にとどまる。

住居があっても問題は続く。精神疾患を抱える人は、罰金の支払いや各種手続きといった日常的な管理が難しく、小さな滞納が積み重なって家賃が払えなくなり、最終的に住まいを失うというパターンが繰り返される。こうした「小さな問題の連鎖」が患者を支援機関から遠ざけ、構造的な解決をさらに困難にしている。

アウトリーチ支援の「分断」と財源問題

オランダには、支援が途切れた患者を積極的に探し出して関わる「アウトリーチ型支援(bemoeizorg)」の仕組みが存在する。FACT(柔軟なアサーティブ・コミュニティ治療)チームと呼ばれる組織がその中核を担い、ケアワーカー・ソーシャルワーカー・当事者経験者が連携して患者の生活全般を支える。状態が安定している間も接触を維持し、問題の芽を早期に摘むことで再燃を防ぐ設計だ。

しかし、2015年の医療制度改革以降、このアウトリーチ支援の提供は自治体の法的義務ではなくなった。財源も保険会社・自治体・国の三者に分散し、現場では重要な業務が「報酬対象外」となるケースが相次いでいる。ユトレヒトのGGZ機関アルトレヒトでケースマネージャーを務めるステフェン・フーヘフェーン氏は「路上にいる患者を探しに行っても、その時間は報酬が出ない。見つけて直接話した時だけ支払われる」と実情を語り、捜索活動への報酬が保障されれば「もっと多くの人を負の連鎖から救い出せるはずだ」と訴える。

こうした状況を受け、業界団体は報告書の中でアウトリーチ支援の法的義務化を提言。精神科学会(NVvP)と四大都市(アムステルダム、ロッテルダム、デン・ハーグ、ユトレヒト)も、精神疾患を抱えた人による暴力事案の増加を背景に、明確な財政枠組みの整備とともに政府への要求を強めている。ハーグでは関係省庁による作業部会の設置が検討されているとされるが、法整備の見通しはまだ立っていない。在蘭の日本人にとっても、地域の精神保健サービスの質は自治体ごとに大きく異なる可能性があり、居住する自治体がどのような支援体制を整えているかを確認しておく意義は小さくない。

情報源: NOS Algemeen

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