売買済みの高級ヴィラも占拠——アムステルフェーンでスクワッター問題が表面化
「こんな経験は初めて」契約成立後も引き渡しできない異例の事態
アムステルダム近郊の高級住宅地として知られるアムステルフェーンで今月、空き家になっていた高額ヴィラ2棟が相次いでスクワッター(不法占拠者)に占拠された。いずれも数百万ユーロ規模の物件とみられ、地域に静かな波紋を広げている。
契約成立後も「引き渡せない」異常事態
2棟のうちとりわけ問題が深刻なのは、すでに売買契約が成立していた1棟だ。通常、契約締結から公証役場での所有権移転までの間に物件を占拠されるケースは極めてまれで、関係者は地元紙ADの取材に対し「このような事態は経験したことがない」と述べた。新オーナーは購入代金を支払う準備を整えながらも、肝心の物件に立ち入ることができないまま時間だけが過ぎている。オランダの法律では、スクワッターが住居として実際に使用している場合、強制退去には原則として裁判所命令が必要となる。手続きに要する時間と費用は、売主・買主双方にとって予期せぬ負担となりかねない。
近隣住民は「感謝している」
一見すると不思議に思えるのが、周辺住民の反応だ。報道によれば、隣人の一部は占拠者たちに感謝の言葉を伝えたという。長期間の空き家は地域の治安や景観を損ない、不法投棄や不審者の出入りを招くリスクが高い。スクワッターが実際に生活することで、むしろ「人の目が届く状態」が生まれ、防犯面でプラスに働くと受け止める住民がいるのだ。オランダでは住宅不足が深刻な社会課題となっており、高額物件を長期間空き家のまま放置することへの批判的な視線も、こうした住民感情の背景にある。
在蘭日本人にとっての教訓
オランダの住宅市場は依然として需給が逼迫しており、アムステルダム都市圏では物件の空き家期間を最小化することが売却戦略上も重要とされている。今回の件は、契約成立から引き渡しまでの「空白期間」にも法的リスクが存在することを改めて示した。不動産取引に関わる在蘭日本人は、仲介業者や公証人(ノタリス)と密に連絡を取り、物件の状態管理を怠らないよう注意が必要だ。当局および売主側の今後の対応が注目される。
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