経験なき水難救助が命を奪う——「自分も溺れる危険」専門家が警告
相次ぐ救助中の溺死、まずすべきことは「水に入らない」こと
友人や家族が目の前で溺れかけていたら、とっさに水に飛び込もうとするのは人間として自然な反応だ。しかし救助の専門家たちは、その衝動こそが新たな犠牲者を生むと繰り返し警告している。オランダ救助隊(Reddingsbrigade Nederland)のエルンスト・ブロクメイヤー氏は「気持ちはよくわかる。でも経験のない人が救助に入れば、自分も危険にさらされる可能性が高い」と語る。
短期間に相次いだ救助中の溺死
今夏、こうした悲劇が立て続けに起きた。42歳のオランダ人女性がギリシャ・クレタ島で友人を救おうとして溺死。カランツォーフ沖では、子どもを助けようとした英国人女性(39歳)とオランダ人女性(26歳)が同じ日に命を落とした。イタリアのコモ湖では45歳のオランダ人男性が息子を救おうとして水中に消え、ヘルダーラント州オフテン近くのワール川でも42歳の女性が子どもたちを救助した直後に溺死した。いずれのケースでも、最初に溺れていた人は生き延びており、救助しようとした側が命を落としているという皮肉な結果になっている。
「水に入らない」救助を最優先に
では、溺れている人を目撃したときに何をすべきか。専門家が口をそろえるのは、まず112に通報することだ。プロが現場に到着するまでの時間を少しでも短縮することが、生存率を左右する。次に、救命浮輪やロープ、手近にあるビーチボールでもいい——とにかく浮力になるものを投げ入れ、溺者が自力で浮いていられる状況をつくる。岸に十分な人数がいれば、互いに手首をつかんで連なる「人間の鎖」を形成し、水に入ることなく溺者を引き寄せる方法もある。
溺者が救助者を危険にさらす最大の要因はパニックだとブロクメイヤー氏は説明する。「パニック状態の人は、近づいてきた人に必死にしがみつく。訓練を積んだライフガードでさえ、溺者と二人分の体重を水面に保つのは難しい。泳ぎに自信がない人ならなおさらだ」。水温の急激な変化、強い流れ、疲労、けいれんといった要因も重なり、状況は瞬時に悪化しうる。
水辺を楽しむために知っておくべきこと
ブロクメイヤー氏はザンドフォールトのビーチで警備員を務めており、夏の水辺のリスクを熟知している。それでも彼は「水を怖がるのではなく、引き続き楽しんでほしい」と強調する。大切なのはリスクを知った上で備えることだ。水辺に出かける際は一人にならず、必ず誰かと行動すること。現地の警告標識を確認し、「もし何かあったらどうするか」を事前に1分考えておくだけで、いざというときの行動が変わる。万が一自分が溺れそうになったときは、手足を広げて「ヒトデのように」水面に浮くことが有効で、これは現在オランダの水泳教室でも子どもたちに教えられている。
在蘭日本人にとっても、夏の海辺や湖での行楽は身近な場面だ。北海沿岸の遠浅のビーチは穏やかに見えても、離岸流や急な深みが潜んでいることがある。善意の行動が取り返しのつかない結果につながらないよう、「まず通報、次に投げる、最後の手段として入水」という優先順位を頭に入れておきたい。溺れの目撃体験がある人は、科学的研究のためにverdrinkingen.nlへの情報提供も呼びかけられている。
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情報源: NOS Algemeen



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