夏に深刻化するオランダの産後ケア人材不足——「もはや質の高いケアを提供できない」
休暇シーズンに追い打ちをかける慢性的なクラームゾルフ危機
オランダでは出産後の母子を自宅でサポートする「クラームゾルフ(kraamzorg)」という産後ケア制度が定着している。通常、産後最長10日間、専門の訪問ケアワーカーが家庭を訪れ、授乳指導や新生児ケア、産褥期の母体回復を支援する。この制度はオランダ社会に深く根ざしているが、その現場を支える人材が慢性的に不足しており、夏季にはその問題がさらに鮮明になっている。
休暇シーズンが不足に追い打ち
産後ケア分野の人材不足はすでに数年来続いている構造的な問題だ。しかし夏の休暇シーズンになると、ケアワーカー自身も休みを取るため、稼働できるスタッフがさらに減少する。NU.nlの報道によると、状況は地域によって異なるものの、夏季にはほぼ全国的に人手不足の影響が顕在化するという。特に大都市では、1人のワーカーが1日に3件の家庭を担当するケースも珍しくないとされる。通常の業務量をはるかに超えた負担がワーカーに集中しており、「大都市ではすでに1日3件をこなしている」という現場の声が伝えられている。
「質の高いケアはもはや提供できない」
現場からの声は深刻だ。担当件数の増加は、1件あたりに費やせる時間の削減を意味する。新生児とその母親に対して十分な観察や支援を行うためには、一定の時間と集中力が不可欠だが、過密なスケジュールではそれが難しくなる。現場のケアワーカーからは「もはや質の高いケアを提供できない」という率直な訴えが聞こえており、制度の根幹が揺らいでいることを示唆している。慢性的な低賃金や労働環境の厳しさが職業としての魅力を損ない、新規参入者が増えにくい状況も背景にある。
オランダ在住の日本人家庭への影響
日本から移住し、オランダで出産を経験した、あるいは今後予定している家庭にとっても、この問題は他人事ではない。クラームゾルフは健康保険でカバーされるオランダ固有の産後支援であり、言語や文化の壁がある外国人家庭にとってはとりわけ心強い存在だ。しかし、夏に出産が重なる場合は担当ワーカーの確保が特に困難になる可能性があり、早めに産後ケア機関(kraambureau)に連絡・登録しておくことが一層重要になる。人材不足の構造的な解決には制度・賃金両面からの政策的対応が求められており、今後の議論の行方が注目される。
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情報源: NU.nl

