メインコンテンツへスキップ
MVRDVが「7つの岩」でロッテルダム新名所の設計コンペを制す――「持続可能なアイコン」に建築界から異論も
社会 読了 2分

MVRDVが「7つの岩」でロッテルダム新名所の設計コンペを制す――「持続可能なアイコン」に建築界から異論も

総事業費2億4000万ユーロ、2031年開業を目指す「Shift Embassy」の全貌

この記事をシェア ✓ コピーしました

ロッテルダムを拠点とする建築事務所MVRDVが、ロッテルダム南部の新興地区Waterkantに建設予定の複合施設「Shift Embassy」の国際設計コンペで優勝した。7つの緑に覆われた岩を積み重ね、表面に水の流れを取り込んだ「Rotterdam Rocks!」と名付けられたデザインが、世界的な建築事務所5社の最終候補作の中から選ばれた。MVRDVはロッテルダムのランドマークであるマルクトハルや、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館のデポも手がけた事務所として知られる。

野心的な計画の全貌

Shift Embassyはもともと「Shift Landmark」という名称で知られていたが、建物そのものではなく機能に重点を置くとして改名された。発起人でRockstartの共同創業者でもあるDon Ritzenは、「大使館とは誰もが歓迎され、出会いが生まれる場所。建築はあくまでも人々を鼓舞するための手段だ」と説明する。施設内には垂直公園、ホテル、レストランのほか、企業や行政、地域団体が利用できるレンタルスペースが設けられる予定だ。年間来場者数の目標は当初の100万人から70万人に修正され、2031年の開業を目指している。資金面では、総事業費2億4000万ユーロを民間投資家から調達する計画で、現時点で公的資金への依存は想定されていない。

「持続可能なアイコン」への疑問

このプロジェクトが公表された当初から、建築界では批判的な声が相次いだ。焦点となったのは、新築の大型ビルを「持続可能性のシンボル」として位置づけることへの矛盾だ。建築家らによる気候活動ネットワーク「Architects Climate Action Network」は「建設業界におけるグリーンウォッシング」と断じた。近年の建築界では、既存建物の改修・再利用や自然素材の活用が主流になりつつあり、鉄鋼とコンクリートを大量に使用する新築ビルは相当量のCO2を排出する。これに対してRitzenは、「来場者が気候変動への意識を高めて生活習慣を変えることで得られる環境への恩恵は、建設時の排出量をはるかに上回る」と反論している。

設計の工夫と過去の教訓

MVRDVのウィニー・マース建築家は、今回のデザインが単なる造形の追求にとどまらないと強調する。廃油田のプラットフォームから回収した鋼材を再利用・接合して構造材に転用し、コンクリートは3Dプリンティングで効率を高める。建物外皮はアーティストのヨリス・ラールマンとの共同開発で、コケ類、シダ、小木まで多様な植生が育つ「多孔質スキン」を採用する。マースは「持続可能建築の実験であり、建設業界のイノベーションを目指す」と位置づける。

一方で、MVRDVにはロンドンの「Marble Arch Mound」がメディアから「Mound Zero」と酷評された前例もあり、設計の簡略化への懸念は払拭されていない。マースは建設予算1億1500万ユーロの範囲内で「岩のフォルム、内部の洞窟、垂直公園、多孔質スキン」という核心的要素は守られると説明する。ロッテルダム南部の新地区活性化を担う存在として、建築の誠実さをどこまで保てるか——Shift Embassyは開業前から、都市開発と環境責任をめぐる議論の焦点であり続けている。

情報源: NRC

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 無料メールニュース

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか?

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)が
メールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース