COAが仲介業者に185億円超の損害賠償を請求――ホテル手配をめぐる疑惑の全貌
5億ユーロを超える契約の裏で何が起きていたのか
オランダの難民受入機関COA(中央難民受入機関)が、ホテルへの緊急宿泊手配を独占的に担ってきた仲介会社LCHD、およびその代表ルネ・デルクセン氏に対し、約1億8470万ユーロ(日本円換算で約185億円超)の損害賠償を請求していることが、オランダ経済紙フィナンシール・ダーフブラットの報道で明らかになった。これはオランダの政府機関が民間企業に対して起こした訴訟としては最大規模の部類に入る。
ウクライナ難民急増が生んだ「独占契約」
発端は2022年春にさかのぼる。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、大量の難民がオランダに流入し、COAは宿泊施設の確保に追われた。そこで白羽の矢が立ったのがLCHDだ。同社はCOAの「独占的仲介業者」として、全国のホテルを手配する役割を担うことになった。以降2年半にわたり、COAはLCHDに5億ユーロ以上を支払った。この間、デルクセン氏が自身の報酬として受け取った配当金は4000万ユーロを超えると報じられている。
COAは法的手続きの開始を認めたうえで、「LCHDによる業務執行の内容と賃貸契約の解除をめぐる紛争」が訴訟の理由だと説明したが、係争中を理由にそれ以上の詳細な発言を避けた。なお、COAはゲルダーラント州ディダムにあるデルクセン氏の農場を差し押さえており、物件の売却を封じている。
刑事捜査と反訴——平行して進む法廷闘争
訴訟の構図をさらに複雑にしているのが刑事捜査の存在だ。デルクセン氏は2023年からオランダ検察庁と財政捜査局(FIOD)による刑事捜査の対象となっており、元ビジネスパートナーでホテル経営一家出身のボブ・ファン・デル・ファルク氏とともに、民間腐敗などの疑いをかけられている。捜査は両者の協力関係と資金の流れに焦点を当てているとされる。
デルクセン氏側は不正を全面否定しており、「価格は透明性を保っており、LCHDが商業的な利益を得る会社であることは関係者全員が承知していた」と主張している。LCHDもCOA側が契約を不当に違反したとして反訴を提起しており、双方が主張を争う構図が続いている。
膨張する緊急宿泊費と在蘭日本人への視点
この問題が浮き彫りにするのは、難民受入体制のひずみだけではない。COAが2024年に緊急宿泊(ホテルやクルーズ船)に費やした費用は25億ユーロに上り、通常の受入施設への支出10億ユーロの2.5倍に達した。緊急対応の長期化が財政を圧迫している実態は、オランダの税制・社会保障全体とも無縁ではない。
在蘭日本人にとっても、公的資金の使途をめぐる大型訴訟は他人事ではない。COAの財政規律や行政の透明性は、移民・難民政策をめぐるオランダ国内の政治議論に直結しており、今後の制度設計や予算配分に影響する可能性がある。民事・刑事両面での審理は長期化が予想されており、引き続き注目が必要だ。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews



/s3/static.nrc.nl/wp-content/uploads/2026/07/20165121/210726CUL_2035285103_-deze-is-de-laatste-versie.jpg)

