オンライン自己投薬の懸念増大、トリンボスが実態調査へ
医師不在のまま偽造薬を入手できる「新たな経路」が問題視される
医師の処方も監督もなく、インターネットで薬を購入して服用する——そうした「自己投薬」の広がりが、オランダで深刻な社会問題として認識されつつある。トリンボス研究所は保健大臣ソフィー・ヘルマンスの依頼を受け、こうした購入者の実態を明らかにするための新たな調査を開始した。誰がなぜオンライン薬に頼るのか、その全体像はいまだ把握されていないという。
数十件の死亡が問題を浮き彫りに
問題の深刻さを示す出来事が昨秋に起きた。ウェブサイト「Funcaps」で購入した薬との関連が疑われる数十件の死亡事例が報告され、社会に衝撃を与えた。当局は同サイトを含む多数のサイトを閉鎖したが、多くは名称を変えて営業を続けているとされる。被害者遺族のひとり、レジナ・ホベさんは2年前に24歳の息子ヨシュアさんをオンラインで注文した化学薬品の混合物によって亡くした経験を書籍にまとめている。
トリンボス研究所の全国コーディネーター、ラウラ・スミット=ライフターは、こうした利用者が必ずしも医療から遠ざかっているとは限らないと指摘する。「かつて医師の診察を受けていたものの、その後フォローアップが途絶えたケースも考えられます。一方で、医療制度そのものへの不信感を抱えている人もいるかもしれない」。研究所は今後、利用者を通常の医療ケアへ戻す方策も検討する方針だ。
iDEAL決済で「普通に」届く薬の危うさ
問題をより複雑にしているのが、購入経路のハードルが急激に下がっている現実だ。以前はダークウェブと暗号通貨を通じてのみ入手できたこうした薬が、iDEAL決済に対応した一般向けサイトで購入でき、荷物は自宅に配送されるようになった。ベンゾジアゼピン系薬(強い鎮静・筋弛緩作用を持つ)や、モルヒネ系の強力な鎮痛剤オキシコドンなどが流通しており、エラスムスMCの毒物学者コリン・ベツレヘム氏は、こうした薬を自己投薬する患者が臨床現場で増加していると報告している。
さらに重大なリスクとして、オンラインで流通する薬が必ずしも正規の薬局を経由したものではない点が挙げられる。スミット=ライフター氏は「偽造薬や模倣薬の場合、成分や用量がまったく異なることがある。それは命取りになりえます」と警告する。
医療現場にも対応が求められる
ベツレヘム氏は、自己投薬は今後オランダの医療現場で深刻な課題になると予測し、医療従事者の積極的な関与を訴える。患者がなぜ医師ではなくオンライン薬に頼るのかを対話の中で探るとともに、こうした物質の使用を早期に察知する「認識力」を高めることが急務だとしている。スミット=ライフター氏も同意見で、サイト閉鎖だけでなく、医師や薬剤師がこの問題をより優先的に扱う必要があると強調する。
在蘭日本人にとっても、オランダの薬局や医師へのアクセスが難しいと感じる場面では、言語や制度の壁からオンライン購入に手が伸びがちになる可能性は否定できない。今回の調査結果は来年中に公表される見通しで、その内容が今後の規制や医療支援策の方向性を左右することになりそうだ。
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情報源: NOS Algemeen



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