市民農園で隣人トラブル、36対1の投票でも退去ならず
ロッテルダムの小さな畑で起きた、大きなコミュニティの亀裂
ロッテルダムの市民農園(volkstuincomplex)で、隣り合う区画を持つ女性2人の間に深刻なトラブルが生じた。発端は些細な隣人間の摩擦だったとみられるが、やがて一方の女性がもう一方の竹製フェンスを壊すという実力行使に発展。その行為が農園の仲間たちの怒りを買い、事態はコミュニティ全体を巻き込む問題へと拡大した。
37人中36人が「出て行け」と票を投じた
問題を受けて開催された会員総会では、37人の会員のうち36人がフェンスを壊した女性の退去に賛成票を投じた。賛成率は97%超という圧倒的な数字だ。コミュニティとしての意思は、これ以上ないほど明確に示されたと言える。ところが、この結果をもってしても、当該女性を農園から実際に退去させることはできなかった。
「多数決」では追い出せない現実
市民農園の会員資格や区画の利用権は、一般に賃貸契約や組合規約によって保護されている。総会での決議が道義的な圧力になることはあっても、法的な強制力を持つかどうかは規約の内容次第だ。今回のケースでは、会員総会の決定だけでは退去を強制する根拠として不十分と判断されたとみられる。フェンスを壊された側の女性は、結果的に自身の区画を失う形となり、「加害者が残り、被害者が去る」という皮肉な結末を迎えた。
オランダ各地に広がる市民農園は、都市住民が土を耕し、自然と触れ合う憩いの場として長年親しまれてきた。しかしその運営は多くの場合、ボランティアベースの会員組織が担っており、トラブル対処のための明確な手続きや法的整備が追いついていないケースも少なくない。今回の出来事は、コミュニティの「民主的な意思」と法的な退去手続きの間に存在するギャップを改めて浮き彫りにした。在蘭日本人の中にも市民農園を利用している人は多い。入会の際には、トラブル時の対応手続きや規約の内容をあらかじめ確認しておくことが、いざというときの備えになるだろう。
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