一戸建て過剰供給の時代へ――ABNアムロが空き家と価格下落を警告
団塊世代の高齢化が2050年までに90万戸を市場に放出する
オランダの住宅市場で、一戸建て住宅の「供給過剰」という構造的な問題が浮き彫りになっている。ABNアムロの経済調査部門が発表したリポートによると、現在オランダ全土には約520万戸の一戸建て住宅が存在するが、これはそもそもこのタイプの住宅が想定している「子どものいる家族世帯」の数の、ほぼ2倍に上るという。同行の建設・不動産担当セクターアナリスト、ヨルケ・クーイエンハは「住宅の需給バランスはすでに崩れており、今後数十年でこの不均衡はさらに深刻になる」と指摘している。
団塊世代が生む「高齢化波」
問題の根源は1970〜80年代の大規模な住宅建設ブームにある。当時は家族世帯が全世帯の約60%を占めていたため、建設の主力は一戸建てだった。しかし現在、家族世帯の比率は全体の**32%**まで低下し、単身世帯が急速に増え続けている。一方で当時に建てられた大量の一戸建ては、今も市場の約3分の2を占める。
この住宅ストックを抱えたまま、いま団塊世代の高齢化という大きな波が押し寄せている。2022年のデータでは、65〜74歳の高齢者の70%が依然として一戸建てに住んでいる。これらの人々はいずれ住み替えを余儀なくされるが、クーイエンハはその時期を「あと20〜40年先」と見る。ABNアムロはこれを「高齢化波(verstervingsgolf)」と呼び、2050年までに少なくとも90万戸の一戸建てが売りに出されると試算する。さらに、自治体が現在進める建設計画ではなお27万戸以上の一戸建て追加が予定されており、供給はさらに膨らむ可能性がある。
高齢者住宅の不足が「詰まり」をつくる
問題を複雑にするのが、高齢者が望む住宅の絶対的な不足だ。クーイエンハによれば、65〜75歳の世代は「従来型の小さな高齢者向け住宅(aanleunwoning)」を望んでいない。広めのキッチンや趣味部屋を備えたバリアフリーの住まいを求めているが、そうした物件は市場にほとんどない。結果として高齢者は一戸建てに留まり続け、若い家族が必要とする住宅への流通が滞る「詰まり」が生じている。
クーイエンハはこの連鎖を断ち切るための処方箋として、「一戸建てをさらに増やすのではなく、高齢者に適した住宅を増やすべきだ」と訴える。高齢者が快適に住み替えられる環境が整えば、空いた一戸建てが若い家族に届く流れができるという論理だ。
在蘭日本人にとっての意味
人口減少が進む地方都市や郊外では、今後、一戸建ての空き家増加と資産価値の下落が現実のリスクとなりうる。一方でアムステルダムなど都市部では需給状況が異なるため、地域ごとに見通しは分かれる。オランダで住宅を購入・保有している在蘭日本人にとっては、所在地域の人口動態と将来の市場動向を慎重に確認しておく必要があるだろう。政策面では今後、高齢者向け住宅の供給促進に向けた自治体・国レベルの議論が活発化することが予想される。
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情報源: NOS Algemeen
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