依然12%はロシア産——オランダのLNG輸入が問いかけるエネルギー自立の現実
2027年の全面禁止を前に、長期契約と価格高騰が壁として立ちはだかる
ウクライナ侵攻から3年以上が経った今も、オランダはロシア産の液化天然ガス(LNG)を輸入し続けている。エネルギー調査機関IEEFAのデータによると、2025年第1四半期のオランダのLNG輸入に占めるロシア産の割合は12% にのぼる。ハーグ戦略研究センターのエネルギー専門家ヒレス・ファン・デン・ボイケル氏は「想定していたよりもはるかに多い数字だ」と率直に驚きを示した。
ロッテルダムを通じて欧州各地へ
ただし、この12%がすべてオランダ国内で消費されているわけではない。ロッテルダム港はLNGの欧州主要中継地であり、2025年第1四半期だけで米国から44隻、ロシアから6隻のLNGタンカーが寄港した。ロシア産LNGの一部はそのまま欧州各国に再輸送されている可能性が高い。同じ期間にロシア産LNGを輸入していたEU加盟国はオランダを含め5か国で、ベルギー40%、フランス35%、スペイン26%、ポルトガル11% と、西欧の主要国が軒並み名を連ねる。
EUはウクライナ侵攻を契機に代替調達先の確保を急ピッチで進め、オランダも2022年のわずか200日でエームスハーフェンに浮体式LNG受入ターミナルを建設した。現在、LNG輸入の主力は米国産に移行しているが、IEEFAのレポートは「液化天然ガスは欧州のエネルギー戦略のアキレス腱になった」と指摘する。米国がLNG設備を急拡充して大きな利益を得る一方、欧州側の依存構造が形を変えただけとも言えるからだ。
2027年禁止を前に揺らぐ前提
EUは2027年初頭にロシア産LNGの輸入を全面禁止する方針を定めており、パイプライン経由のガスについては2026年秋から禁止が適用される予定だ。現在、新規契約の締結はすでに禁止されているが、以前に結ばれた長期契約が残っているため輸入が続いている。かつてオランダの気候相を務めたヘルマンス氏(VVD)も、「簡単には解除できない長期契約が数件ある」と認めていた。
問題を複雑にしているのが、ホルムズ海峡の閉鎖だ。世界のLNG供給の約20%を担うこの海峡が通行できなくなったことで、ガス価格は再び上昇圧力にさらされている。ファン・デン・ボイケル氏は「欧州は世界のガス市場がもう少し緩むと見込んでいたが、その前提が崩れつつある。ブリュッセルが禁止期限をさらに後ろ倒しにしても驚かない」と述べる。欧州各国が冬に向けた備蓄積み増しを急ぐ中、オランダの国営エネルギー会社EBNは200億ユーロの予算でガス貯蔵施設の充填に乗り出している。
構造問題としての化石燃料依存
EUが2027年の禁止を掲げながらも「プーチンの戦費を補う」リスクと「ガス市場をさらに逼迫させる」リスクの間で板挟みになっている現状は、エネルギー安全保障の難しさを改めて浮き彫りにする。新たなLNG端末の建設が欧州各地で続く一方、長期的なガス需要は再生可能エネルギーへの転換とともに縮小が見込まれており、過剰設備投資への懸念もIEEFAは指摘している。
ファン・デン・ボイケル氏は「結局のところ、化石燃料への依存そのものが構造的な問題だ。欧州が本当の意味で脆弱性を減らしたいなら、再生可能エネルギーへの移行を加速するしかない」と結論づける。在蘭日本人にとっても、今後のガス料金や暖房コストに直接影響しうるこの問題は、2027年という期限に向けて引き続き注視が必要だ。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: NOS Algemeen
/s3/static.nrc.nl/wp-content/uploads/2026/07/01152220/71241a95-e49c-4158-b18a-7ce776fbebff.jpg)


