住宅市場で広がる「持ち家」と「賃貸」の格差
既存の持ち家所有者が恩恵を享受、新規購入者や賃借人は取り残される
オランダのほぼ全地域で、持ち家所有者と民間賃貸セクターの入居者が収入に占める住居費の割合を低下させている――そんなデータが明らかになった。数字だけを見れば「住宅の手ごろさが改善した」と受け取ることもできるが、実態はより複雑だ。この改善の恩恵は、すでに住宅を保有している層に偏って集中しており、これから住まいを探す人々の状況はほとんど変わっていない、あるいはむしろ悪化しているとも言える。
「負担軽減」の恩恵は既存オーナーに集中
住居費負担率の低下が意味するのは、収入の伸びが住宅コストの上昇を上回ったか、あるいは住宅ローンの返済が一定額に固定されているうちに賃金が上がったケースが多いとみられる。特に数年前に住宅を購入し、低金利時代に固定金利で契約した持ち家所有者にとっては、相対的な負担が着実に軽くなっている構図だ。民間賃貸セクターの入居者についても、契約時の家賃が据え置かれているケースでは同様の傾向が見られる。
一方、今まさに住宅を探している人々が直面する現実は厳しい。新規購入者は現在の市場価格と高い住宅ローン金利の両方に向き合わなければならず、新規契約の民間賃貸物件も家賃水準は依然として高止まりしている。「住宅が買いやすくなった」という印象は、すでに市場に参入済みの層の経験を反映したものであり、これから参入しようとする層には当てはまらないのが実情だ。
社会的格差として固定化するリスク
この構造が問題なのは、単なる一時的な不均衡にとどまらない可能性があるからだ。持ち家所有者は資産価値の恩恵も受けながら住居費負担を下げている一方、賃貸に頼らざるを得ない層や若年世代は、購入の機会そのものを得にくい状況が続いている。住宅市場における「持てる者」と「持たざる者」の格差は、オランダ社会において固定化・世代間継承されるリスクをはらんでいる。
在蘭の日本人にとっても、この問題は他人事ではない。特に赴任や移住のタイミングで住まいを新たに探す場合、民間賃貸市場での競争は激しく、アムステルダムやロッテルダムなどの主要都市では家賃の高騰が続いている。住宅市場の「数字の改善」が自分たちの状況に直結しないことを念頭に置き、現地の住宅事情を冷静に見極めることが重要だ。
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情報源: NU.nl
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