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個人大家の“売却ラッシュ”、住宅購入者には追い風も賃貸市場には打撃
経済

個人大家の“売却ラッシュ”、住宅購入者には追い風も賃貸市場には打撃

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📦 この記事は旧 HARRO LIFE(https://harrojp.com/articles/301125-2)からの移行アーカイブです。

売却件数は前年比大幅増

オランダ登記局の最新データによると、2025年第3四半期には15,800戸の賃貸住宅が投資家によって売却され、前年同期比で37%の増加となった。

一方、投資家が新たに購入した住宅は約6,000戸にとどまり、そのうち59%は別の投資家からの購入だったため、賃貸市場全体のストックは純減している。

“安く買える住宅”として購入者に人気

売却された物件の多くは:

・中間所得向けの低家賃物件

・規模が小さく、多少のリフォームが必要

・賃貸価格規制の対象となる可能性が高い物件(Affordable Rent Act)

そのため、価格も相対的に安く、投資家からの住宅の平均購入価格は約38.4万ユーロ。対して、一般の個人売主からの住宅は平均51.1万ユーロと、13万ユーロ近い価格差がある。

「これは初めて家を買う人にとっては好機だが、賃貸に頼らざるを得ない層にとっては悪いニュースだ」と、カダスターの住宅市場専門家Matthieu Zuideman氏は述べている。

売却加速の背景にある2つの制度改革

この賃貸住宅の売却加速には、政府が進める2つの制度改革が大きく影響している。

ひとつは**中間所得向けの賃貸規制法(Affordable Rent Act)**であり、特に大都市圏にある高収益物件に強い影響を及ぼしている。この法律の導入により、賃料の自由設定が難しくなった投資家が、採算が取れないと判断して物件の売却に踏み切るケースが増加。こうした動きはまずアムステルダムなどの大都市から始まり、その後、売却は地方都市や郊外へと波及している。

もうひとつは、**2026年税制改革による資産課税の強化(Wealth Tax)**である。これにより、第二の住宅を保有する個人はこれまで以上に重い税負担を課される見通しで、事前に売却しておこうとする動きが広がっている。とくに、将来的に収益が見込めないと判断された地方の物件でも、同様の売却判断が進みつつある。

地方にも波及する“売却ブーム”

当初はアムステルダムやユトレヒトといった大都市圏で目立っていたこの動きだが、最近では地方都市や郊外エリアにも売却の波が押し寄せている。これは、税制改革による影響が地域に関係なく広がり始めていることや、今後の不動産価値への不安が背景にあると考えられている。すでに、地方でも投資家の撤退が進み、賃貸物件の供給は減少傾向にある。

購入者に恩恵、賃貸層に打撃

こうした背景のもと、現在のオランダ住宅市場では「購入者にとっての恩恵」と「賃貸依存層にとっての不利益」という二極化が鮮明になっている。投資家が売却した物件は、一般的に築年数が経過しリフォームが必要なこともあるが、その分価格は安く設定されている。これにより、初めて住宅を購入する人々にとっては手の届く価格帯の物件が増え、住宅取得のチャンスとなっている。

一方で、賃貸に頼らざるを得ない人々にとっては、賃貸住宅の供給が目に見えて減少していることが深刻な問題だ。住まいの選択肢が狭まり、今後の家賃高騰や入居競争の激化も懸念される。

政策の行方が市場を左右する

今後、政府が打ち出す賃貸政策や課税制度の見直しが、オランダの住宅市場にどのような影響をもたらすかは、購入者・賃借人の双方にとって重要な関心事である。持ち家取得のチャンスが広がる一方で、賃貸需要に応える政策的なバランスも求められている。

参考

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