選べるのに買えない―新車モデル激増でもオランダ人が手を伸ばせない理由
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ショールームは満杯、だが売れない
オランダでは今、新車の選択肢がかつてないほど増えている。地元紙によると、ショールームには約500種類ものモデルが並び、ブランド数は69社に及ぶ。しかしその一方で、多くの消費者にとって価格が高すぎ、購入に踏み切れない状況が続いている。
業界団体のBovagによれば、現在販売されている新車は426モデル。ただし、この数字は定義次第で変わる。たとえばアウディA6は、ハイブリッドと電気自動車で別モデルとして扱われ、さらにセダンとステーションワゴンの違いもある。
「数え方」でモデル数が激増
アウディ自身は44モデルをラインアップしていると数えるが、車両登録機関RDWのデータを基にしたBovagの分類では、18車種に集約される。
つまり、技術的には同じ車でも、駆動方式やボディ形状の違いで“別モデル”として増えているのが実情だ。
平均価格5万ユーロ
新車の平均価格は約5万ユーロにまで上昇している。一方、個人購入者が想定する予算は約3万6,000ユーロにとどまる。この大きなギャップが、多くの消費者を中古車市場へと向かわせている。その結果、新車販売台数は低迷し、今年の販売台数は約37万台。10年前の50万台超と比べると、大きく減少している。
インフラ政策の専門家であるBert van Wee氏は、モデル数が増えた背景をこう説明する。
「今は、同じ部品を使って複数モデルを作ることが簡単になった。フォルクスワーゲンとシュコダ、セアトは技術的にほぼ同じ車の場合もある」。
同様に、日本の日産とフランスのルノーも共同開発車を展開しており、開発コスト削減がモデル乱立を後押ししている。
EV化が選択肢を爆発的に増やした
モデル増加のもう一つの要因が電動化である。アウディの場合、
・ハイブリッド:14モデル
・電気自動車:14モデル
・ガソリン車:16モデル
と、同一車系でも動力別に細分化されている。
中国メーカー急増
EV化は、中国メーカーのオランダ進出も加速させた。5年前は慎重だった中国勢だが、現在は40以上のモデルが市場に投入されている。NIO、BYD、MGはいずれも6モデルを展開している。
ただし販売台数は限定的で、紅旗(ホンチー)やボヤ(Voyah)といったブランドは、依然として街中では珍しい存在だ。
報道によれば、新車の約3分の2は企業リースで購入されている。つまり、理論上は選択肢が増えていても、一般の個人消費者がその恩恵を受ける機会は限られている。
1万ユーロの小型車は消えた
かつて1万ユーロ前後で買えたシトロエンC1やプジョー108といった都市型小型車は、市場から姿を消した。税制の影響で採算が合わなくなったためだ。
同じプラットフォームを使っていたトヨタ・アイゴも、現在はハイブリッド仕様で2万4,000ユーロに達している。
それでも残る「最後の安価枠」
現在、
・ダチアは2車種を2万ユーロ未満で提供
・2万5,000ユーロ未満の小型EVは7モデル存在
しているが、選択肢は限られている。
選べるのに、買えない時代
オランダの新車市場は、選択肢の豊富さと購入可能性が逆行する時代に入っている。
ショールームは満ちているが、財布は追いつかない。それが、現在のオランダ車市場の現実である。
情報源: HARRO LIFE (legacy)




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