新車平均価格が5万ユーロ突破、マイカーが贅沢品に
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1万1,500ユーロ以上の上昇
オランダの新車価格が記録的な高値をつけている。業界団体RAI Verenigingによれば、2025年時点の新車の平均価格は5万26ユーロ。これは2020年の平均価格(3万8,500ユーロ未満)から1万1,500ユーロ以上も上昇しており、多くの一般消費者が到底手が出せない価格帯に達している。
一方で、自動車購入ポータルAutoTrackの調査では、回答者の81%が「次に買う車に1万5,000ユーロ以上は払いたくない」と回答。実際に5万ユーロ以上の車を検討している層はわずか19%にとどまる。
「運転は贅沢になりつつある」
オランダ自動車協会ANWBのEdwin Timmer氏は、「運転にかかるコスト全体が年々増加している。購入価格だけでなく、維持費、燃料代、保険料なども含めて会員たちは不安を抱いている」とAD紙に語っている。
デルフト工科大学の交通政策専門家Bert van Wee教授によると、価格の上昇はインフレ率を大きく上回っている。たとえば2005年の平均新車価格は24,608ユーロ。これをインフレ率56%で調整しても、2025年換算で約3万8,388ユーロに過ぎず、現在の5万ユーロ超には及ばないという。
価格上昇の背景
Van Wee氏やBrantsen氏ら専門家によれば、新車の価格高騰は単なる物価上昇ではなく、「技術の進化と装備の増加」によるところが大きい。現代の自動車は、エアバッグ多数、ABS、衝突時の変形構造、カメラ付き自動ブレーキ、インターネット接続、エアコン、シートヒーターなど、多くの安全・快適装備を備えており、「それらすべてを“当然のもの”として求める私たちの期待にも価格が反映されている」と説明する。
加えて、車両重量も50年前の倍近くにまで増えている。たとえば1970年代のオペル・カデットが700〜800kgだったのに対し、現在の車は1,400〜1,500kgが標準だ。
中古車とEVの価格差
現在、ガソリン車の平均価格は34,884ユーロと、2005年の価格とほぼ同水準を保っている。一方、電気自動車(EV)の平均価格は7万1,599ユーロ、プラグインハイブリッドは5万19ユーロと高額であり、価格差が顕著だ。
Van Wee教授は「6〜8年落ちの中古車でも、あと10年程度使えるのであれば年間コストは十分抑えられる」として、新車にこだわらない選択肢の合理性を指摘している。
所得との乖離:新車は収入を超える
1975年のオランダのモーダル所得(中央値に近い年収)は1万437ユーロで、新車の平均価格はその半分の5,002ユーロだった。ところが2025年現在、モーダル所得は4万6,500ユーロでありながら、新車の平均価格はそれを超える5万ユーロ以上。収入を超える車両価格という新たな現実が、多くの市民にとって購入のハードルを高めている。
RAI Vereniging会長Frits van Bruggen氏は、「ガソリン車に対する消費税(VAT)と登録税(BPM)は合計で約34%に達する」と述べ、現状の課税構造が価格上昇に拍車をかけていると指摘した。ハイブリッド車でも税率は28%程度あるという。
走行距離課税への転換を提案
RAIは対策として、BPMの引き下げ、あるいは走行距離に応じた環境課税方式への転換を提案している。「移動の自由が特権でなく、誰にとっても持続可能であるべきだ」との姿勢を示している。
一方で、個人向けリースが急速に普及しており、現在では新車の個人購入のうち約35%がリース契約であるとの報告もある。まとまった支出が難しい中での新たなトレンドといえる。
中古車市場が主役に
1975年に成人の34.5%が車を所有していたが、1995年には47.8%、2024年には63.8%にまで上昇している。一方で、2007年以降は新車販売が減少し、中古車の販売が急増しているとラボバンクの経済学者Igor Džambo氏は指摘する。これは、高額化した新車の“代替手段”として中古車が選ばれている証左といえる。
情報源: HARRO LIFE (legacy)




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