フィリップス、睡眠時無呼吸訴訟で米司法省と288億円の和解成立
リコール隠蔽疑惑から5年、ようやく引かれた「区切りの線」
アムステルダムを本拠とする医療技術大手フィリップスは、欠陥のある睡眠時無呼吸症治療機器をめぐって米司法省と争ってきた訴訟を、2億8800万ユーロ(約288億円)の支払いで和解することで合意した。同社は第3四半期の決算発表と合わせてこの金額を開示。CEO(最高経営責任者)のロイ・ヤコブスは、今回の合意を「非常に重要な一歩」と位置づけ、フィリップスがイノベーションへの注力に戻れると述べた。
フォーム微粒子問題とリコールの経緯
問題の発端は、フィリップスの人工呼吸器ブランド「レスピロニクス」の製品に使用されていたポリエステルフォームにある。機器の清掃中に微小な粒子が剥離・放出され、ユーザーがそれを吸引するリスクが判明したのだ。フィリップスは2021年、約550万台の機器と1700万枚のマスクを世界規模でリコールしたが、米規制当局の調査でリコール開始の5年前から顧客の苦情やリスク報告を隠蔽していたことが明らかになり、法的措置へと発展した。
今回の米司法省との和解に先立ち、フィリップスはすでに2年前、フォーム微粒子による肺がんや鼻腔がんを訴えたユーザーらの集団訴訟も11億ユーロ(約1700億円)で和解している。なお、同社は患者の健康被害に対する法的責任は認めていない。
業績への影響とAIへの期待
今回の和解金計上は第3四半期の収益に直撃した。グループ全体の売上高は前年同期比3%増の44億ユーロと堅調な伸びを維持したものの、純利益は1億8700万ユーロから2800万ユーロへと大幅に落ち込んだ。なお前四半期には、米連邦最高裁がトランプ政権による関税賦課を違法と判断したことで同社に1億8600万ユーロの還付金が入るという特殊要因もあった。
ヤコブスCEOは、訴訟の区切りと並んで将来への成長戦略も示した。フィリップスはAIを医療機器に組み込む投資を続けており、その成果としてMRI検査の所要時間を半減させるAIロボットを挙げた。「患者にとっても病院にとっても、同じコストで2倍の人数を診られるようになることは素晴らしいことだ」と述べた。
在蘭日本人にとってフィリップスは家電ブランドとして身近だが、同社はすでに家電部門を切り離し、医療機器に経営資源を集中させている。今回の和解成立により長年の不確実性が一定程度解消されたことで、今後の事業立て直しと株価の行方が引き続き注目される。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews
関連ニュース

オランダのインフレ率、10月は3.7%に上昇――エネルギー高が押し上げ
サイバー攻撃がアホールド・デルハイズを直撃——売上最大2.5億ユーロ減の衝撃
サイバー攻撃がアホールド・デルハイズを直撃——売上最大2.5億ユーロ減の衝撃
