紫外線が照らす秘密の世界――オランダの生き物が放つ蛍光の美
ドレンテの写真家が専用スタジオで記録する、人間の目には見えない自然の色彩
タンポポが輝き、シジュウカラが光り、ナメクジまでもが蛍光を放つ。そんな光景を想像できるだろうか。紫外線(UV)を当てると蛍光を発する生き物は、オランダの自然界にごく普通に存在している。ドレンテ州を拠点とする自然写真家フランク・ホイスマンは、そうした「見えない世界」を丹念に記録してきた人物だ。専用の撮影スタジオを構え、これまでに約150種の蛍光性の動植物をカメラに収めている。
「発光」と「蛍光」――似て非なる二つの現象
蛍光現象は、一部の生物学者が「また新種が見つかった」と肩をすくめるほど、実は珍しいものではない。しかし多くの人が混同しがちなのが、「生物発光(バイオルミネッセンス)」との違いだ。深海に棲むチョウチンアンコウは、体内の化学反応によって自ら光を生み出し、獲物をおびき寄せる。これが生物発光だ。一方、蛍光はまったく異なるメカニズムによる。外部から紫外線を受け取り、それを可視光として放出するに過ぎず、生物自身がエネルギーを生み出しているわけではない。紫外線という「スイッチ」なしには、その輝きは現れない。
昆虫への「道案内」として機能する紫外線パターン
ホイスマンの撮影が特に注目されるのは、花びらに現れる紫外線パターンの記録だ。人間の目にはただの花びらに見えるものが、紫外線下では複雑な模様を描き出す。このパターンこそ、ミツバチや蝶などの昆虫が蜜のありかを探し当てるための「道標」として機能している。昆虫の多くは紫外線を知覚できる視覚を持っており、私たちが看板や地図を読むように、花の紫外線パターンを読み取って行動しているのだ。
ホイスマンの作品が伝えるのは、単なる視覚的な驚きにとどまらない。日常の公園や庭先に咲く花、街路樹に止まる鳥、雨上がりの歩道を這うナメクジ――オランダの平凡な自然風景の中に、人間の感覚では決して届かない世界が重なり合って存在していることを、静かに示している。在蘭の日本人にとっても、身近なオランダの自然を新鮮な視点で見直すきっかけになるかもしれない。
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情報源: NRC


