ボネール島のサンゴ礁が危機、50年で9割消滅
温暖化・エルニーニョ・病気が重なり、かつて海底を覆った群礁がほぼ消えた
オランダの特別自治体であるカリブ海の島ボネール周辺で、サンゴ礁の劣化が急速に進んでいる。ワーヘニンゲン大学の研究チームが現地を再調査した結果、現在、海底に占めるサンゴの被覆率は**約5%**にとどまることがわかった。50年前には60%を超えていたことを考えると、元の群礁のおよそ9割が失われた計算になる。
温暖化・エルニーニョ・病気が三重に追い打ち
サンゴ礁の衰退は一因だけで説明できない。ワーヘニンゲン大学のサンゴ研究者エリック・メースタース氏は、「大規模なエルニーニョによる海水温の急上昇で多くのサンゴが死んだ。加えて、気候変動による高水温が水中の細菌を増やし、サンゴを病気にかかりやすくしている」と説明する。同氏は2017年のデータをもとにした研究を学術誌『Nature』に発表しているが、その後に実施された最新のフィールド調査では、状況がさらに悪化していることが示されているという。
島の海洋公園を管理するStinapa(国有機関)のレオネル・マルタン氏は、こうした変化を肌で感じ続けてきた一人だ。1969年生まれの彼は「子どもの頃は、海に入るためにサンゴをどかさなければならないほどだった。そんな光景はもうずっと見ていない」と語る。スピードボートで海域を巡回しながら、かつてサンゴが繁茂していた場所と今の姿を対比させてきた。
修復活動は進むが、規模の壁
現地では保全活動も続けられている。ダイビングスクールと連携するNPO「Reef Renewal」は、小さなサンゴを育てて島の周囲に移植する取り組みを進めており、これまでに2万本のサンゴを植え付けた。同団体のサンネ・テュイテン氏は「サンゴは動物だが、植物のように挿し木ができる。移植後に成長し、自然繁殖もしている」と話す。一方で「自分たちの活動は、焼け石に水だとわかっている。それでも何もしないよりはいい」とも認める。カリブ海全体のスケールから見れば、2万本という数字はあくまで局所的な取り組みにとどまる。
サンゴが消えれば観光業も消える
経済的な影響も切実だ。ボネールはダイビングの聖地として知られ、観光業、とりわけダイビング産業が島の経済を支えている。地元のダイビングスクール「Buddie Dive」のグアーズリー・アンソニー氏は「観光客はサンゴと魚、そして色鮮やかな海を見に来る。何もなければ、見るものがない」と自身の仕事への不安を口にする。
メースタース氏は「成長が早く環境変化に強い”雑草サンゴ”はまだ見られる。しかし高さ10メートルにもなるような本物の礁形成サンゴは姿を消しつつある」と警告する。サンゴ礁の回復には、化石燃料の早急な削減と、カリブ海全域を対象とした抜本的な修復プロジェクトの両輪が不可欠だと研究者たちは訴えている。在蘭日本人の多くにとってボネールは縁遠い存在かもしれないが、オランダが自国の環境問題として海外領土のサンゴ保全にどう向き合うかは、気候変動政策の試金石ともなっている。
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情報源: NOS Algemeen
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