愛猫を剥製に——火葬を選ばなかった夫婦の、もうひとつの見送り方
逝って1年半、バルーは今もドレッサーの上にいる
ロブとアンジャの家で、バルーはどこへでもついてきた。2人が腰を下ろせば膝に乗り、夜になればベッドで一緒に眠った。そんな存在を失ったとき、夫妻には火葬という一般的な選択肢がどうしても受け入れられなかった。「バルーを煙にしてしまうことができない」——その一心から、2人はペットの剥製という、オランダでも決して主流ではない選択肢へと踏み出した。
剥製師を探す、思わぬ苦労
ペットの剥製を請け負う職人は、オランダ国内でも多くはない。夫妻は業者探しに長い時間をかけ、最終的にたどり着いたのがナイメーヘンにあるミュージアムショップだった。ここでは動物標本の扱いに慣れた職人が、丁寧な復元作業を行っている。剥製の製作工程は、単に毛皮を残すだけではなく、表情や体の姿勢を生前の写真や記憶をもとに細かく再現していく繊細な作業だ。目には義眼が入れられ、骨格を支える芯材の上に毛皮が被せられて、生きていたころの姿が少しずつ蘇っていく。
1年半後も、家にいるバルー
バルーが亡くなってからおよそ1年半が経った今、完成した剥製は夫妻の自宅のドレッサーの上に置かれている。「手元にいてくれる」という感覚が、2人にとっての区切りになっているようだ。ペットロスは近年オランダでも社会的に認知されるようになってきており、火葬・埋葬・剥製・毛皮保存など、別れの形も多様化しつつある。剥製という選択は珍しく映るかもしれないが、愛した存在の「形」を残したいという思いは、多くの飼い主に共通するものだろう。
在蘭の日本人にとっても、ペットを看取る経験はいつか訪れうる。オランダでは動物の火葬サービスは広く普及している一方、剥製のような選択肢を知っておくことは、いざというときの備えになるかもしれない。ロブとアンジャの話は、「正しい別れ方」などというものは存在せず、それぞれの思いに寄り添った選択があってよいのだと、静かに教えてくれる。
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情報源: AD
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