希望価格より7万ユーロ安く落札——28歳DIY愛好家が見つけた「掘り出し物」の現実
売れ残り半年・入札ゼロの築古物件に、若者が挑む
オランダの住宅市場といえば、売り出しと同時に複数の買い手が殺到し、希望価格を大幅に上回る入札合戦が繰り広げられるイメージが定着している。そんな市場環境にあって、ワールデル(南ホラント州)に住む28歳のDIY愛好家、クラース・ヤン・クーパース氏が異例の取引を成立させた。彼が手に入れたのは、希望価格より7万ユーロも低い金額で落札した1930年代築の老朽化した一戸建て。過熱する住宅市場の「もう一つの顔」を映し出す事例として、オランダ国内で注目を集めている。
半年以上売れ残り、入札者ゼロという異例の物件
この物件が市場に出回ったのは半年以上前のことだった。にもかかわらず、入札者はゼロという極めて異例の状況が続いていた。現在のオランダでは、状態の良い物件であれば数日以内に売れることも珍しくない。それだけに、これほど長期間買い手がつかなかったことは、物件の状態がいかに厳しいものであったかを物語っている。1930年代に建てられた木造中心の構造は老朽化が進み、本格的なリノベーションなしには居住が困難な状態とされている。一般の購入者にとっては「問題を買う」に等しいこの物件が、クーパース氏には逆にチャンスに映った。
「直した後に売る」——投資としてのDIY
クーパース氏は趣味でDIYや建築修繕を手がけてきたいわゆる「ホビークルッサー(hobbyklusser)」だ。今回の取得は自ら住むためだけでなく、リノベーション後の転売も視野に入れた投資的な判断でもある。「完成したら売りに出すつもり」と本人は明かしており、改修作業を通じて物件価値を高めるいわゆる「フリッピング」に近い戦略をとっている。オランダでは近年、こうした築古物件のリノベーションに取り組む若い世代が増えており、通常の住宅購入競争から一歩引いた形での市場参入として注目されている。
在蘭日本人にとっての示唆
オランダに住む日本人にとっても、住宅購入や賃貸の厳しさは切実な問題だ。今回のケースは、競争の少ない「難あり物件」に目を向けることで、相場を大きく下回る価格での取得が可能であることを示している。もちろん、大規模なリノベーション費用と技術・時間が必要であり、誰にでも再現できる方法ではない。しかし、住宅価格の高騰が続くオランダにおいて、こうした「逆張り」のアプローチが一つの選択肢として存在することは、知っておく価値があるだろう。市場の過熱の陰に、まだ掘り出し物が眠っている可能性を、この28歳の挑戦は静かに示している。
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