スピードとボードショーツ、衛生的なのはどっち?科学者たちが本気で検証
フランスの「スピード義務」に科学的根拠はあるのか
フランスのプールに行く際には要注意だ。男性はスピード型の密着した水着でなければ入場を断られる。ゆったりとしたボードショーツは「非衛生的」として禁止されているのだ。しかし、この規制に科学的な根拠はあるのか——フランス、ドイツ、オーストラリア、そしてオランダの微生物学者たちが、その問いに正面から向き合った。
「何人の教授が水着姿で泳げばプールが危険になるか」
研究を主導したのは、ナイメーヘンのラドバウド大学医療センターで熱帯感染症の疫学を専門とするTeun Bousema教授だ。研究チームはいわゆる「クロスオーバー試験」を実施。著者ら自身を含む21人の男性研究者が、スピード型とボードショーツの両方を着用して泳ぎ、それぞれの水着から溶け出す細菌の量を比較した。結果は明確で、ボードショーツはスピード型に比べて約3倍の細菌を水中に放出することがわかった。
フランス側の懸念は、泳いでいる最中に体から出る汚れではなく、水着に入る前から蓄積された汚れにある、とBousema教授は説明する。「ボードショーツは家で履いてきたり、休暇中にずっと短パン代わりに使ったりする人が多い。川や海で泳いだあと、そのままプールに来る人もいる」。つまり、ショーツ自体が細菌の「運び屋」になっているという発想だ。
Bousema教授自身、ある夏の日にナイメーヘン近郊のSpiegelwaalでボードショーツを着て泳いだ。その日は水質悪化のため遊泳が禁止されていたほどの状況だったが、「その1枚のショーツに含まれていた細菌量だけで、標準的なプールの衛生基準を超えてしまうことが試算された」という。
塩素があれば大丈夫? 問われる「臨床的意義」
ただし、問題はそれほど単純ではない。ほとんどのプールには塩素が使われており、細菌を死滅させる効果がある。塩素がどれほど速く機能するかは、その濃度やプール内の汚れ、水の酸性度によって異なる。Bousema教授も「細菌量の差が実際の健康リスクにつながるかどうかは、現時点では不明確だ」と認める。研究自体はまだ査読前のプレプリントの段階であり、「学術誌もどう扱えばいいか戸惑っている」と本人は笑う。「真剣な研究だが、ウインクしながら書いた部分もある」。
おまけの発見——「自己評価が高すぎる教授たち」
研究にはもう一つ、ユニークな側面があった。35人のフランス・イタリア人の学識者が、匿名化した参加者の写真を両方の水着姿で評価した結果、スピード型はボードショーツよりも見た目の評価が低かった。さらに興味深いのは、参加者が自分自身を評価すると、他者の評価よりも高い点をつける傾向があり、学術的な地位が上がるほどその自己過大評価が強まることも示された。「実はもともとわかっていたことだが、どうやら魅力の評価にも当てはまるらしい」とBousema教授はコメントしている。
オランダでは水着の種類に法的な制限はなく、日本人を含む多くの人が慣れ親しんだボードショーツで問題なくプールを利用できる。ただし、フランスへ旅行や出張の際にプールを使う予定があるなら、スピード型の水着を一枚持参しておくことを忘れずに。そして次に自分の水着を「外着」代わりに使いたくなったとき、この研究結果をちらりと思い出してみてはどうだろうか。
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情報源: NRC



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