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フェスで薬物所持→罰金は警察でなく民間企業へ オランダで広がる「私的警察」の実験
社会 読了 2分

フェスで薬物所持→罰金は警察でなく民間企業へ オランダで広がる「私的警察」の実験

ThinkTwiceが導入する新たな秩序維持モデル、その法的根拠と懸念点

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今年のフェスティバルシーズン、ブラバント州で開催されたハードスタイルフェス「ReBirth」に参加した23歳のマルクと28歳のヤコブは、入場ゲートをくぐった後に警備員に呼び止められた。黒いビニールシートで覆われたフェンスの陰に連れて行かれ、案内された先は小さな建設用プレハブ小屋。「あなたたちは今、ThinkTwiceのもとにいます」——聞いたことのない企業名に、二人は困惑した。その後マルクは150ユーロ、8袋の薬物を所持していたヤコブは350ユーロをその場でスマートフォンから振り込んだ。振込先は国庫でも自治体でもなく、ThinkTwiceという民間企業だった。

「警察の代わり」として生まれたビジネスモデル

オランダでは近年、自治体がフェス主催者にゼロトレランスの薬物政策を義務付けるケースが増えている。しかし警察はすべての違反者に対応できる人員を持たない。その空白に目をつけたのが、元警察官らが設立に関わったThinkTwiceだ。同社は民間セキュリティ企業SODAおよびSCOPEDと連携し、フェス会場での薬物所持者への罰金徴収を請け負う。

法的な根拠となるのは、チケット購入時に同意する利用規約だ。薬物の持ち込みを禁じるこの規約に違反した場合、主催者への「損害賠償」として罰金を支払う義務が生じるという仕組みである。刑事罰ではないため、支払えば原則として警察への引き渡しは行われず、前科もつかない。ThinkTwiceは昨年だけで250件の罰金を徴収しており、今年は7th Sunday、Harmony of Hardcore、SuperSized Kingsdayなどに続き、DominatorやDecibel Outdoorといった大型フェスへの導入も予定されている。

当局は歓迎、だが来場者の権利は守られているか

警察、自治体、検察はこの仕組みを概ね支持している。フェス主催者がThinkTwiceの費用を負担し、徴収した罰金の半額以上が主催者に還元される仕組みのため、行政側のコスト負担はゼロだ。主催者にとっても、導入することで許可申請が通りやすくなるメリットがある。

一方で、来場者の側には複数の懸念が残る。まず、利用規約の存在を実際に認識している来場者はほとんどいない。NRCが7th Sundayで取材した来場者のうち、ThinkTwiceの名前を知っている人物は一人もいなかった。また、「警察に引き渡す」という選択肢が提示されることで、実質的に支払いを強制されているとの声も出ている。前述のマルクは「詐欺に遭っているような感覚だった」と述べており、罰金の比例性や徴収プロセスの透明性を独立して監視する仕組みも現状では整っていない。

さらに見落とされがちなリスクとして、薬物関連の医療的トラブルが挙げられる。会場内で体調が悪化した際にEHBO(救護所)に行けば「発覚するかもしれない」と恐れる利用者が増えれば、緊急時の医療アクセスが妨げられる可能性もある。民間による秩序維持の「実験場」と化しつつあるオランダのフェス会場で、来場者の安全と権利をどう守るか——制度設計の議論はまだ緒についたばかりだ。在蘭日本人がフェスに参加する際も、チケット購入時の利用規約を事前に確認しておくことが、これまで以上に重要になっている。

情報源: NRC

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