欧州熱波「気候変動なければほぼ起こらなかった」——科学者が警告する加速する温暖化
オランダ都市の90%で湿球温度が観測史上最高値を更新
現在欧州を席巻している熱波は、気候変動がなければ「ほぼ発生し得なかった」——そう結論づける分析を、国際研究ネットワーク「World Weather Attribution(WWA)」が公表した。WWAは世界各地の異常気象が気候変動によってどの程度影響を受けているかを専門的に検証する科学者集団で、今回の熱波についても詳細なモデル解析を実施した。
2003年との比較が示す「一人の一生で見える変化」
研究者たちが今回特に着目したのは、2003年に欧州を襲った大規模熱波との比較だ。あの年は現代の熱波の「基準点」として語られることが多いが、モデル解析によれば、現在と同規模の熱波が当時発生していたとすれば、昼間の気温は約2度、夜間は1.3度低かったはずだという。一見わずかな差のように見えるが、分析に参加したオランダ王立気象研究所(KNMI)の研究者スヨウキェ・フィリップ氏は「2003年を経験した人は多い。あの夏と今の夏の違いを、一人の人間の生涯の中で実感できるということだ」と指摘する。
さらに深刻なのは夜間の状況だ。就寝中に気温が下がらないいわゆる「熱帯夜」は、2003年の熱波と比べ約100倍の頻度で発生しているとWWAは算出している。「夜に体が回復できなければ、暑さのダメージは日を追うごとに蓄積される」とフィリップ氏は警告する。
湿度が加わる「複合リスク」——オランダでも記録更新
今回の熱波が例年と一線を画すもう一つの要因が、高い湿度だ。気温と湿度を組み合わせて人体への熱ストレスを示す指標「湿球温度(natteboltemperatuur)」が、オランダの都市の約90%で観測史上最高値を記録した。湿度が高いと、人体は汗の蒸発による放熱が難しくなるため、同じ気温でも体感的・生理的な負荷は大幅に増す。フィリップ氏は「記録更新ばかりに注目しがちだが、記録に僅かに届かなくても、これだけの気温と湿度の組み合わせは十分に危険だ」とも述べている。
なお、今秋以降に気温を押し上げる可能性が指摘されているエルニーニョ現象については、今回の欧州の熱波への影響はないと研究者たちは確認している。
世界平均の3倍速で温まる西ヨーロッパ
フィリップ氏が特に懸念するのは、西ヨーロッパにおける温暖化の速度そのものだ。西ヨーロッパの最高気温の上昇速度は、世界平均の約3倍に達しているという。その背景には、陸地が海洋より速く温まること、夏季に南からの暖かい風が吹き込みやすい地形的・気象的条件があると説明される。
在蘭日本人にとっても、この夏の熱波は他人事ではない。夜間に窓を開けても涼しい風が入らない夜が続くことは、睡眠の質や体調管理に直結する。エアコンの普及率が低いオランダでは、こうした気候の変化が日常生活のリスクとして急速に現実味を帯びてきている。科学者たちは「驚きはないが、繰り返し伝え続けることが重要だ」と口をそろえる。
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情報源: NOS Algemeen



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