夏至に約17時間の日照——長い夏の光は人体に何をもたらすか
時間生物学者が語る概日リズムへの影響と、夏の眠れない夜の正体
6月21日(日)、オランダに夏至が訪れる。国土の中央部では日照時間が16時間45分に達し、北部ではさらに長く、南部でもわずかに短い程度だ。朝は午前5時19分に夜明けを迎え、夜は午後10時4分まで空が明るいままという、日本では想像しにくい「長い一日」がやってくる。これほど豊富な光は、人の体にどのような影響をもたらすのだろうか。
体内時計を動かす「光」の力
人間の体には、約24時間周期で機能する概日リズム(サーカディアンリズム)が備わっている。この体内時計を最も強くリセットするのが、光——とりわけ朝の自然光だ。アイントホーフェン工科大学の時間生物学者カリン・スモルダース氏によれば、夏至のような長日照条件では、光の刺激が通常よりも長時間にわたって体内時計に作用し続ける。朝早くから光を浴びることで目覚めのスイッチが早めに入り、夜になってもなかなか暗くならないために眠気を感じにくくなる、という二重の影響が生じるという。
睡眠ホルモンとして知られるメラトニンの分泌は、暗闇が訪れることで促進される。しかし夏至の夜は、午後10時を過ぎてようやく暗くなり始めるため、メラトニンの分泌開始が遅れがちになる。結果として入眠が難しくなったり、睡眠時間が短くなったりする人が少なくない。「夏になると眠れない」と感じるのは、気温や花粉だけでなく、こうした光のメカニズムによるところが大きい。
日照の恩恵と、うまく付き合うために
一方で、長い日照には恩恵もある。日光を浴びることでビタミンDが合成され、気分の安定にかかわるセロトニンの分泌も促進される。スモルダース氏は、夏の明るさをうまく活用することで日中の活力を高められると指摘しつつ、夜の睡眠の質を守るためには意識的な対策も必要だと強調する。たとえば、遮光カーテンで寝室を暗くすること、就寝1〜2時間前からスマートフォンなどの画面光を避けることが有効とされている。
オランダ在住の日本人にとって、この時期の長い夜明けと遅い日没は、日本の夏とは質的に異なる体験だ。午前5時台から差し込む朝の光で早起きになったり、夜の明るさに戸惑ったりするのは、体が正直に反応しているサインでもある。夏至という一年でもっとも光に満ちた日を、体内時計の仕組みを少し意識しながら過ごしてみるのも悪くないかもしれない。
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