アサド政権の拷問実行者に26年判決——ハーグ地裁、人道犯罪で断罪
オランダ「普遍的管轄権」に基づく国際犯罪訴追の最前線
ハーグの地方裁判所は、シリアのアサド政権下で拷問・性的暴行など人道に対する罪を犯したとされるシリア人男性(58歳)に対し、禁固26年の判決を言い渡した。男性はヘルダーラント州ドルテンに家族とともに在住しており、2023年に自宅で逮捕されていた。
「尋問部門長」として拷問を指示・実行
裁判所の認定によると、男性はアサド政権を支持する民兵組織「国家防衛軍(NDF)」の尋問部門のトップとして、2013年から2014年にかけてシリア西部サラミヤ近郊の3か所の拘禁施設で被拘禁者を拷問し、また部下にも同様の行為を命じていた。裁判では9人の被害者が証言台に立ち、裁判所は8人に対する19件の罪状について有罪を認定した。残る1人については、男性が実際にその尋問担当者であったとの証明が困難として無罪とした。
判決文の中で裁判所は「被告は被害者たちを非人間的に扱い、極限まで尊厳を傷つけた」と厳しく断じた。さらに、男性が審理の場でも被害者を侮辱し続けたことにも言及している。男性は一貫して関与を否定し、「シリアでは公務員として働いていた」と主張していた。
普遍的管轄権が問う国際正義
本件が注目される理由のひとつは、訴追の法的根拠にある。オランダは「普遍的管轄権(universele rechtsmacht)」を国内法に取り入れており、これにより自国民や自国領土とは無関係に、世界のどこで起きた重大な国際犯罪でもオランダの裁判所が裁くことができる。2023年、国家犯罪捜査チームの国際犯罪班が情報提供を受け、ドルテンの自宅で男性を逮捕したのも、この法的枠組みがあってこそだ。
検察側は禁固30年を求刑していたが、裁判所は26年を相当と判断した。検察・被告のいずれも控訴が可能であり、今後も手続きが続く可能性がある。
在蘭シリア難民コミュニティと国際社会への含意
シリア内戦をめぐる国際的な司法の動きは近年加速している。オランダはこの分野で積極的な役割を担っており、本判決はその姿勢を改めて示す一例となった。在蘭シリア難民の中には、こうした訴追を長年求めてきた当事者も少なくない。一方で、難民として生活する人々の中に加害者が潜伏している可能性を改めて社会に意識させる事案でもある。普遍的管轄権に基づく訴追がどこまで抑止力となり得るか——本件はその問いに対する一つの回答として、国際法の観点からも注目され続けるだろう。
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情報源: DutchNews



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