牛・豚が糞尿槽に転落——週4件の畜舎事故が示す老朽化の実態
動物福祉団体が112番記録を独自集計、消防当局も深刻さを認める
オランダ国内の農場で、床を踏み抜いた牛や豚が糞尿貯留槽(メストケルダー)に転落する事故が、年間を通じて相次いでいる。動物福祉団体「Wakker Dier」が緊急通報112番の受理記録を独自に集計したところ、こうした事故は平均して週4件のペースで発生していることが明らかになった。消防当局もこの実態を認めており、問題はいよいよ無視できない段階に達している。
糞尿槽の中で生死をさまよう家畜たち
転落事故が起きると、家畜は自らの排泄物が充満する槽の中に落ち、身動きが取れない状態に陥る。救出が間に合わないケースも多く、死亡に至る例も少なくないと報告されている。消防隊員が出動しても、狭くぬかるんだ槽の中から数百キログラムに及ぶ牛や豚を引き上げる作業は困難を極める。動物にとっての苦痛はもちろん、現場対応にあたる救助隊員への負担も深刻だ。
事故の主因として指摘されているのが、畜舎の床の老朽化である。コンクリートが長年の使用により腐食・劣化し、家畜の体重に耐えきれなくなっている農場が各地に存在するとみられる。オランダの農業セクターでは、施設の更新投資が滞っているケースも多く、インフラの老朽化は業界全体に共通する構造的な問題でもある。
Wakker Dierが対策を要求、社会的関心も高まる
Wakker Dierは今回の集計結果を根拠に、農場施設の安全基準強化や定期点検の義務化といった具体的な対策を当局に求めている。同団体はこれまでも工場型畜産や動物の扱いに関する問題提起を続けてきた組織であり、今回の調査は世論を動かす材料として注目されている。
週4件という頻度は、年換算で200件超に相当する。一件一件は地方の農場で起きる「小さな事故」として見過ごされがちだが、累積すれば相当な規模の動物福祉上の問題となる。オランダが欧州有数の農業輸出国である以上、畜産施設の安全管理は国際的なイメージにも関わる問題だ。
在蘭日本人にとって直接的な生活影響は限られるものの、オランダ産の乳製品や豚肉は日常的に食卓に並ぶ食品でもある。農場の安全基準や動物福祉をめぐる議論の行方は、食の安全・安心という観点からも、引き続き注視する価値があるだろう。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: AD



/https://content.production.cdn.art19.com/images/c8/0d/d3/2a/c80dd32a-cdd0-4ac0-926c-6cf20d3f5a14/92419bbca54f79b205275f8406c01019e3992c550445433b216528be175d641cb71d24185c0a7433adae777e927c30531d58cb1af6f0ac1d444ab517564dba48.jpeg)
