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博物館コレクションを蝕む虫害——「第二の死」を写真で記録する
社会 読了 2分

博物館コレクションを蝕む虫害——「第二の死」を写真で記録する

剥製や昆虫標本を静かに破壊する侵略的外来種の脅威

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博物館に並ぶ剥製や昆虫標本は、熟練した剥製師の手によって死後の腐敗プロセスを止められ、まるで生きているかのように見える。だが「永遠に保たれる」というわけではない。静寂な収蔵庫の奥では、虫たちが人知れずコレクションを蝕み続けている。オーストリアの写真家クラウス・ピヒラーが制作した写真シリーズ「The Second Death(第二の死)」は、その見えにくい現実を鮮烈に可視化した作品だ。

専門家とともに現場へ

ピヒラーがカメラを持って同行したのは、博物館コレクションの害虫駆除を専門とする生物学者パスカル・クェルナーだ。クェルナーが重視するのは、保存担当者や来館者への毒性を懸念して、化学薬品への依存をできるだけ抑えた防除法を採ることだ。具体的には、適切な温湿度のマイクロ気候を維持し、粘着トラップで害虫を捕捉するほか、被害を受けた標本には低温処理や二酸化炭素・窒素を用いて卵や幼虫を死滅させる方法が使われる。パン甲虫(Stegobium paniceum)の被害を受けた書籍はビニールで密封し、害虫を窒息させる手法も取られるという。

厄介な侵略者「ウスピラケシカツオブシムシ」

なかでも特に問題視されているのが、北米原産のReesa vespulae(和名:ウスピラケシカツオブシムシ)だ。昆虫コレクションや植物標本への壊滅的な被害で知られるこの虫は、ヨーロッパでは侵略的外来種として各地の博物館を悩ませている。その厄介さの最大の理由は、メスが単性生殖(パルテノジェネシス)できることにある。つまり、たった一匹のメスが収蔵庫に入り込むだけで、やがて大規模な被害へと拡大しかねない。ピヒラーは、このケシカツオブシムシの幼虫と繭に囲まれ、翅だけを残して食い尽くされたニワシロイトトンボ(ヤマイモハンモックガ属の一種、Samia cynthia)の無残な姿を収めた。コガネムシの一種(Protaetia speciosissima)や、カメムシのキチン質の外殻もまた、食害から逃れることができなかった。

喪失と美が交差する視点

ピヒラーのレンズは、単なる記録にとどまらない。衣類蛾(Tineola bisselliella)に食い荒らされた剥製たちを、演劇的な背景の中に配置することで、サルバドール・ダリのシュールレアリスムを想起させる独特の美的世界を作り出している。剥製という「死を止めた存在」が、さらなる崩壊へと向かう様子は、保存と喪失という根本的な問いを静かに突きつける。

自然史博物館を訪れる機会のある在蘭日本人にとっても、コレクションの維持が決して自明ではないことは知っておく価値がある。オランダ国内の博物館も同様の課題に直面しており、収蔵庫では見えないところで日夜、保存の戦いが続いているのだ。

情報源: NRC

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