職場ハラスメント調査の質に問題、政府委員が30項目の改善勧告を提出
規制の甘さが被害者も被告発者も傷つける——抜本改革の提言
オランダで、職場でのハラスメントや性的不正行為を巡る社内調査のあり方に、厳しい批判の目が向けられている。政府の性的不正行為・性的暴力担当委員マリエット・ハマーは5月、調査の質が低く被害申告者にも被告発者にも深刻な被害をもたらしているとして、司法大臣に30項目の勧告を提出した。
「調査が何もしないより悪い結果を招く」
ハマー委員は勧告書の中で、「不適切に行われた調査がもたらす損害は大きい。申告者にとっても、被告発者にとっても、そして組織にとっても」と明記した。解決されないまま放置された告発は当事者に深い傷を残し、不十分な調査を受けた申告者は「何も起こらなかった場合よりも悪い状況に置かれる」とも述べている。こうした指摘の背景には、時事番組「ニュースウル」による調査報道がある。同番組はオランダ全土で職場調査の質に対する広範な懸念が存在すると報じ、議論に火をつけた。
現在オランダには約3,000社の民間調査会社が存在し、そのうち約450社が職場での不正行為案件を扱っており、その数は増加中だという。問題は参入障壁の低さだ。ニュースウルの調べでは、調査会社の設立に必要なのは600ユーロと品行証明書(VOG)、そして職業資格証明書のみで、法律が定める具体的な品質要件はほとんどない。ハマー委員は、性的不正行為や権力濫用に関する複雑な申告は、雇用主からの単純な窃盗事案とはまったく別物であり、面接技術・法律知識・心理的サポートに関する専門性が不可欠だと強調する。
改革の柱——資格制度と新設監督機関
ハマー委員の提案の核心は、調査を「基本」と「専門」の2種類に分類し、それぞれに異なる資格・研修を義務付けるという枠組みだ。加えて、雇用主が依頼先の適格性を事前に確認できる登録制度の整備と、定期的な研修の義務化も求めている。社内調査委員会にも同様の基準を適用すべきとし、依頼企業の顧問弁護士が調査を兼任することは禁止するべきだと明記した。
監督体制についても抜本的な見直しを求めている。現在の監督機能は警察と司法省のスクリーニング機関「ユスティス」に分散しているが、ハマー委員は両者とも「必要な能力と専門知識を欠いている」と指摘。実質的な制裁権限を持つ新たな監督機関を設置し、すべての調査会社が加入を義務付けられる独立した苦情委員会を同機関内に置くよう提案した。
在蘭日本人にとっての意味
これらの改革提言が立法化されれば、オランダで働くすべての人——日本人駐在員や現地採用者を含む——が職場不正行為を申告した際に受ける調査の質が、制度的に担保されることになる。2022年に音楽オーディション番組「ボイス・オブ・ホランド」で発覚したセクシャルハラスメントスキャンダルを機に申告件数は急増しており、透明性と専門性を備えた調査体制の整備は待ったなしの課題となっている。勧告がどこまで政策に反映されるかは今後の議会や政府の動向に委ねられるが、オランダの職場環境における一つの転換点になりうる動きとして注目される。
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情報源: DutchNews



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