アラビア語・トルコ語の卒業試験受験者が急増——「両親の祖国を知りたい」
文化的アイデンティティへの関心が後押し、教員不足と学校側の誤解が普及の壁に
オランダの高校卒業試験(eindexamen)で、アラビア語とトルコ語を選択する生徒が急速に増えている。試験・評価機関(College voor Toetsen en Examens)のデータによると、アラビア語の受験者は2022年の186人から401人へ、トルコ語は91人から338人へと、いずれも倍増以上の伸びを記録した。背景には、移民第二世代の若者たちが抱く、ルーツの国への知的・感情的な関心がある。
「両親の国を理解したい」——生徒たちの声
トルコ語でvwo(大学進学課程)の卒業試験に臨んだバデ・タシャン(16歳)は、「トルコ語は家で自然と身についた。ドイツ語より得意だし、両親が生まれた国のことをもっと知りたかった」と話す。「オランダで生まれ育って、トルコとのつながりは家族だけ。もし自分がトルコで育っていたらどんな人間になっていたのだろうと、ふと考えることがある」という言葉には、多くの移民第二世代に共通する問いが映し出されている。
一方、vmbo(中等職業教育課程)でアラビア語を受験したアスマ・カドゥラ(16歳)はパレスチナ出身で、シリアで4年間生活した経験を持つ。「母語だから比較的楽に取り組めた。生物は将来の目標(建築家)には必要ないと判断し、アラビア語で代替した」と説明する。現在通うデン・ヘルダーの高校でアラビア語受験者は彼女一人だけで、授業はROCナイメーヘン(職業訓練校)の教員によるオンライン形式で受けた。
トルコ語教員メフメット・ウズ(言語教員協会「レヴェンデ・タレン」所属)は、人気上昇の要因としてトルコ系ドラマシリーズやSNS上のロールモデルの影響を挙げる。さらに実利的な側面もある。「トルコ語はもともと話せる生徒が多いため、試験の平均点が高くなりやすい。他の科目の成績を補完する手段にもなる」とウズは指摘する。
普及を阻む「誤解」と構造的課題
需要が高まる一方で、トルコ語・アラビア語を正式な科目として提供できている学校はまだごく少数だ。最大の障壁は資格を持つ教員の不足と学校予算の制約だという。トルコ語教員のジャナン・ギョネンジャイは現在13校で授業を担当し、デン・ハーグやズウォレの学校では満員の教室を抱えるが、その多くはオンラインと対面を組み合わせた変則的な形式だ。
もう一つの壁は、根強い誤解だ。ウズによると、一部の学校は「トルコ語やアラビア語を提供することはイスラム教育を支援することになる」と誤解しており、科目の導入に消極的だという。「あくまでも言語を学ぶ授業であり、宗教教育とは全く関係がない」とウズは強調する。
在蘭日本人にとっての示唆
この動きは、移民第二世代が「継承語」をアカデミックな文脈で再評価し始めていることを示す社会的変化だ。オランダには多様な言語的背景を持つ移民コミュニティが存在しており、卒業試験での継承語活用は、教育格差の緩和策としても注目を集めている。日本語話者の子どもを持つ在蘭の家庭にとっても、継承語教育の価値やオランダの教育制度における選択肢の広がりとして、他人事ではない議論といえるだろう。ウズは「トルコ語で卒業試験を受けられることを知らない生徒がまだ多い」とし、受験者数のさらなる増加を見込んでいる。
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情報源: NOS Algemeen



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