聖霊降臨祭(ピンクステレン)は影が薄い?存在感ゼロの祝日を盛り上げられるか
トンポース、チョコエッグ、シュトーレン…ピンクステレンだけ定番なし
オランダには、祝日ごとに「これといえばこれ」という定番の食べ物がある。国王の日(コーニングスダハ)にはオレンジ色のトンポース(ミルフィーユ状のケーキ)、イースターにはチョコレートのエッグ、クリスマスにはシュトーレン——祭りの季節になるとスーパーの棚は一斉に衣替えし、気分を盛り上げる。ところが、聖霊降臨祭(ピンクステレン)だけはその棚がぽっかり空のままだ。なぜこの祝日だけが取り残されているのか、オランダのメディアが改めて問いを立てている。
2日間の祝日なのに、なぜ存在感がないのか
ピンクステレンはイースターから数えて50日目に当たるキリスト教の祝日で、聖霊が弟子たちに降りたことを記念する。毎年日曜日と月曜日の2日間が公式の休日となっており、制度上はイースターやクリスマスと同格の扱いだ。にもかかわらず、街の装飾も特別なお菓子も目立ったイベントも乏しく、多くの人にとっては「なんとなく連休」で終わってしまう。
背景には、オランダ社会の急速な世俗化がある。かつては教会を中心に祝われていたこの祭りも、礼拝に通う人口が減るにつれて地域コミュニティでの存在感を失っていった。クリスマスやイースターは宗教色を薄めながらも食文化や家族行事として生き残ってきたが、ピンクステレンはそのような「世俗化された再解釈」を経ないまま現在に至っている、と専門家は指摘する。
「大きなインスピレーションの祭りにできるはず」
この状況を変えようという声もある。ある論者は「私ならピンクステレンを、一つの大きくてインスピレーションあふれる祭りにする」と語る。聖霊降臨の物語には、言語の壁を超えた対話や創造のエネルギーというテーマが含まれており、現代的な文化祭やコミュニティイベントと親和性があるというわけだ。実際、一部の自治体や教会グループは屋外コンサートや野外礼拝を企画しており、小さいながらも独自の形で祝祭感を演出しようとしている。
スーパー各社にとっても、ピンクステレン向けの限定商品は未開拓の市場ともいえる。ただし、消費者の関心が薄い祝日に商品を投入しても売れるかどうかは未知数であり、今のところ大手チェーンが動く気配はない。「商品が先か、文化が先か」という卵と鶏の問題でもある。
在蘭日本人にとってのピンクステレン
在蘭日本人の多くは、ピンクステレンを「なんとなく職場や学校が休みになる週末」として認識していることが多いだろう。しかし月曜日も祝日のため、保育園・学校・役所などが休業となる点には注意が必要だ。予定を組む際には、この2日間の連休を意識しておくと慌てずに済む。逆に言えば、まだ「型が決まっていない」祝日だからこそ、自分たちなりの過ごし方を自由に作れる余白がある祝日ともいえるかもしれない。
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