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骨折した高齢者を救急搬送せずに済む日が来る―在宅PENG麻酔治療、全国展開へ
社会 読了 2分

骨折した高齢者を救急搬送せずに済む日が来る―在宅PENG麻酔治療、全国展開へ

アムステルダムUMCが今年から全国研究を開始、終末期の痛みを変える試み

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認知症を抱えた虚弱な高齢者が股関節を骨折したとき、これまでは激しい痛みに耐えながら救急車で病院へ搬送されるのが一般的だった。しかし今、その常識を変えようとする動きがオランダで加速している。麻酔専門医が患者のいる自宅や介護施設へ出向き、その場で痛みを取り除く「PENG治療」と呼ばれる在宅疼痛処置だ。アムステルダムUMCは今年、この治療をより多くの病院へ広げるための全国規模の研究を始める。

救急搬送という「二重の苦痛」をなくす

ニューウェヘインなどで介護施設を運営するZorgSpectrumの老年医学専門医ニーンケ・ヘンドリクスは、この新たなアプローチを高く評価する。認知症の患者が転倒して股関節を骨折すると、痛みそのものに加え、救急車での搬送中の揺れや、担架からベッドへの移し替えがさらなる激痛を引き起こす。「あの救急車での極めて痛ましい搬送も、担架からベッドへの移し替えも、もう必要ありません」とヘンドリクスは語る。

近隣のシント・アントニウス病院から麻酔科医が駆けつけ、骨折の診断を確認したうえで特殊な局所麻酔を施す。この処置が最長6か月間にわたって有効なため、患者は痛みをほとんど感じることなく残りの日々を過ごせる。モルヒネの使用量が大幅に減ることで混乱状態も避けられ、意識が清明なまま家族と時間を共にできるという。

「適切なケア」が医療全体の効率も上げる

高齢で認知症が進行した患者への股関節手術は、近年、患者・家族・医療チームの協議のもと見合わせるケースが増えている。術後に合併症を起こしたり、手術をしても強い痛みが残ったりするリスクが高いためだ。PENG治療はそうした患者に対し、手術に代わる現実的な選択肢を提供する。

シント・アントニウス病院の麻酔科医レナート・ワスモースは「患者にとってはるかに快適なだけでなく、医療全体の効率が大きく上がる」と指摘する。麻酔科医が施設へ出向くことで救急車と病院ベッドが他の患者のために解放されるため、医療リソースの観点からも合理的だと言えよう。

全国展開への課題―人員と保険

現在、PENG治療を通常ケアとして提供しているのはアムステルダムUMCやシント・アントニウス病院など一部の施設にとどまる。全国展開のボトルネックとなっているのが人員配置と費用負担の問題だ。アムステルダムUMCでパイオニアとして活動する麻酔科医ダーフィット・ブリンクマンは「大学病院には院外へ麻酔科医を派遣できる人員的な余裕があることが多いが、小規模な地域病院では少人数のチームで回しているため派遣が難しい」と課題を説明する。また、この治療の費用をどの保険区分で賄うかについて、保険会社との交渉もまだ途上にある。

今年始まるアムステルダムUMCの全国研究では、モバイル疼痛チームをより小さな病院でも運用できる仕組みを模索するほか、股関節骨折以外の疾患への応用可能性も検討される。在蘭の日本人も含め、親の介護や終末期医療に向き合う場面でこうした選択肢が身近になる日は、そう遠くないかもしれない。

情報源: NOS Algemeen

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