オランダで1000人超が欠陥心臓植込み器具を装着したまま、患者への告知なし10年
心臓病学会は2014年から問題を把握、「患者へのストレス」を理由に沈黙
オランダ国内で少なくとも1000人の患者が、誤作動による不必要な電気ショックを繰り返す可能性のある心臓植込み型デバイスを体内に持ったまま日常生活を送っていることが明らかになった。問題のデバイスはドイツの医療機器メーカー「Biotronik」製の「Linoxリード線」と呼ばれる製品で、場合によっては数十回連続して不必要なショックが発生するリスクがあるとされる。さらに深刻なのは、患者がこの事実をまったく知らされていなかった点だ。
10年以上前から警告されていたリスク
この問題を掘り起こしたのは、テレビ番組「Nieuwsuur」のフルール・ダーメン記者が、調査報道機関「Investico」およびオランダ医学誌『Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde』と共同で行った調査だ。報告によれば、心臓病専門医や研究者たちはLinoxリード線の危険性について10年以上前から警告を発し続けていた。にもかかわらず、問題の製品は患者の体内に残されたままで、具体的な対応はとられなかった。
オランダ心臓病学会(NVVC)は2014年の時点でこの問題を把握していたことが確認されている。しかし学会は、患者への情報公開を見送る判断を下した。その理由として挙げられたのが、「心疾患を抱える脆弱な患者にストレスや不安を与えたくない」という医療上の配慮だった。NVVCの副会長ミヒール・リーンストラ氏は取材に対し、「これは簡単な決断ではなかった。対象者は重篤な心疾患を持つ患者であり、自分のデバイスへの信頼をできる限り保ってほしかった」と説明した。一方で、「今振り返れば、異なる判断をしていたかもしれない」とも述べており、当時の対応に疑問の余地があることを事実上認めた形だ。
在蘭日本人への影響と問題の本質
今回の問題は、医療機関と患者の間にある「情報の非対称性」という普遍的な課題を改めて浮き彫りにする。患者保護の名目で行われた情報の非開示が、結果として患者自身の知る権利や自己決定権を侵害していたとも言えるからだ。オランダ在住で心臓に持病を持つ方、あるいは家族がいる場合は、使用中の植込みデバイスのメーカーや型番を主治医に確認することが一つの選択肢となりうる。
NVVCはこの調査報道を受け、今後の対応について議論を迫られる立場に置かれた。医療における「患者への正直な情報提供」と「精神的な負担の軽減」のバランスをどう取るべきか——今回の事案は、その難しい問いをオランダ社会全体に投げかけている。
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情報源: NOS Algemeen



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