インフォーマル介護者が急増するオランダ——「システムが崩壊したら」専門家が警鐘
男性の参加も増加、仕事と介護の二重負担が社会的課題に
オランダで、家族や友人・知人が無償で行う「インフォーマルケア(mantelzorg)」の担い手が急速に増え続けている。NU.nlが伝えたところによると、この傾向は近年とくに顕著で、介護を担う人々の絶対数がかつてない規模に膨らんでいる。高齢化と医療費削減を背景に公的サービスの受け皿が縮小するなか、その穴を埋めているのは、制度ではなく人々の善意と日常の時間だ。
「第二の仕事」を抱える人々
インフォーマルケアを担う人の多くは、日中はフルタイムまたはパートタイムで働きながら、帰宅後や週末に介護を行っている。専門家はこの状況を「実質的に第二の仕事を抱えている」と表現する。食事の準備や通院の付き添い、精神的サポートなど、その内容は多岐にわたり、週に数十時間に及ぶケースも珍しくない。身体的・精神的な消耗は深刻で、介護疲れ(mantelzorgoverbelasting)という概念がオランダ社会でも広く認識されるようになってきた。
従来、インフォーマルケアは主に女性が担うものとされてきた。しかし近年は男性が介護に関わる事例も増えており、性別役割の変化が少しずつ進んでいることが見て取れる。とはいえ、依然として女性の方が介護負担を多く担っているというデータは変わっておらず、ジェンダー格差の完全な解消にはほど遠い。
崩壊した場合の「大きな問い」
専門家が特に警鐘を鳴らすのは、この非公式な支え合いのネットワークが将来的に機能しなくなるリスクだ。少子化や核家族化が進むオランダでは、介護を担える家族・知人の数が将来的に減少することが予測される。「システムが崩壊したとき、それは社会にとって巨大な問いになる」という言葉は、単なる懸念ではなく、すでに現実味を帯びた警告として受け止められている。公的な介護制度がインフォーマルケアの急増分を吸収できるだけのキャパシティを持っていないからだ。
在蘭日本人にとっての視点
オランダに暮らす日本人にとっても、この問題は無関係ではない。長年オランダに在住し、パートナーや親の介護を担うケースは少なくなく、言語の壁や制度の複雑さが重なる分、負担はさらに大きくなりやすい。また、オランダの公的介護サービス(thuiszorg)を利用するには自治体への申請と審査が必要であり、支援が実際に届くまでに時間がかかることもある。インフォーマルケアの拡大は、公的サービスへのアクセスが難しい人々にとっては唯一の選択肢になりうる一方で、担い手の持続可能性という本質的な問いを社会全体に突きつけている。
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情報源: NU.nl



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