DigiD悪用で670万ユーロ詐欺——オランダ税務当局が審査体制を刷新
ブルガリア国籍者のBSN約400件が不正申告と一致、回収困難額は440万ユーロ
オランダの電子政府認証システム「DigiD」を悪用した大規模な所得税還付詐欺が明らかになった。財務副大臣エーレンベルフが議会に提出した書簡によると、オランダ国内に居住していないブルガリア国籍者に発行されたDigiDを使い、架空の賃金コストや水増しした控除を含む確定申告・還付申請が繰り返された。被害総額は670万ユーロに上り、政府が凍結口座から回収できる見込みは約230万ユーロにとどまる。残る440万ユーロの回収は事実上困難とされており、公的資金への打撃は避けられない状況だ。
銀行とLogiusが別々に「警告」
詐欺の端緒をつかんだのは、民間銀行だった。口座が税還付の受け取りだけを目的に開設され、資金が即座に引き出されるパターンを不審に思った銀行が当局に通報。税務当局(Belastingdienst)はこの情報を、昨年末以降に独自フラグを立てていた申告データと照合し、不正の全体像を把握した。
同時期、政府のデジタル認証機関「Logius」も別ルートで警告を発していた。非居住者向けの窓口登録業務を担う地方当局が、ブルガリア市民のグループが毎回同一の仲介者に引率されてDigiD申請に訪れるケースの急増を報告。サンプル調査の結果、これらの窓口を通じて発行された市民サービス番号(BSN)のうち約400件が、税務当局がすでに問題視していた申告と一致した。
申請者自身は「DigiDとは何か」を知らなかった
エーレンベルフ大臣の説明によれば、仲介業者は申請者への報酬支払い、窓口予約の手配、交通手段の提供まで一手に担っていた。一方、実際に申請を行ったブルガリア人の多くは、DigiDが何であるか、またそれで何ができるかを理解していなかったとみられる。登録の際には大半が外国の住所を届け出ており、実態を知らないまま利用された可能性が高い。
この手口は過去にも前例がある。2013年にはブルガリアの犯罪グループが人々を偽のオランダ住所に登録し、医療・住宅給付を不正受給した事件が起きた。また財務調査機関FIODは2024年7月、ドルドレヒト在住の男がブルガリア系家族ら約300人のDigiDを使い、約490万ユーロの育児給付を不正申請したとして逮捕した事件も捜査している。
在蘭日本人にとっての影響
政府はすでに、今回の不正パターンに関連する人物への将来的な支払いを停止した。加えて、所得税申告の選定ルール強化を検討中であることも明らかにされた。エーレンベルフ大臣は同じ書簡の中で、社会保障給付やVAT徴収にも同様の手口が及んでいる可能性を示唆しており、調査は進行中だ。在蘭日本人を含むすべての居住者にとって、DigiDはオランダでの行政手続きに不可欠なツールである。今回の事件を受け、当局がDigiD申請や税還付の審査を厳格化すれば、正規の申告手続きにも一定の影響が生じる可能性がある。自身のDigiDアカウントへの不審なアクセスには引き続き注意が必要だ。
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情報源: DutchNews



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