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アムステルダムの森に「森のラボ」――90年の歴史を持つ都市林の魅力を掘り起こす
社会 読了 3分

アムステルダムの森に「森のラボ」――90年の歴史を持つ都市林の魅力を掘り起こす

デルフト工科大の研究者が挑む、見えない実験室の試み

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アムステルダムの森のなかに、看板も測定機器も見当たらない「研究拠点」がある。それが、デルフト工科大学の景観建築家・研究者エファ・ウィレムセン氏(33)が設置した「森のラボ」だ。一見すると何の変哲もない木立に見えるが、メタセコイアの巨木5本を囲む低木のない空間は、意図的な介入の結果である。2年前まで周囲を低木や若木に囲まれ、緑の風景に埋もれていた木々が、今は存在感をもってそびえ立つ。

「自然に任せる」管理の限界

約1,000ヘクタールに及ぶアムステルダムの森は、オランダ最大の都市林だ。1930年代の世界恐慌期に失業対策事業として造成されたという歴史を持ち、見晴らしのきく場所、水辺、公園的なゾーン、世界各地の樹木を集めたアルボレトゥムなど、多様な景観が精緻に設計されている。1931年に設けられた委員会は「できる限り多くのアムステルダム市民に、積極的・消極的な休暇の場を提供すること」をこの森の目標として掲げた。

しかし、その後長年にわたって採用されてきた「自然に任せる」管理方針のもとで、当初の設計が持っていた多様性は徐々に失われてきた。自然発生した低木や若木が茂り、かつての「見せ場」が緑の均一な壁に覆われてしまったのだ。ウィレムセン氏はこの状況を「ロシアのツンドラのように、どこまでも同じ風景が続く状態」と表現する。森の管理者マキシム・ブラウ氏(32)も同じ危機感を共有しており、「そうした小さな文化的風景を保ちたいなら、介入が必要だ」と語る。

「句読点」としての戦略的介入

ウィレムセン氏が試みているのは、森の7か所で実施する小規模ながら効果的な介入だ。彼女はこれを「interpunctie(句読点)」と呼ぶ。若い苗木を取り除いたり、数十本単位で木を伐採したりすることで、それまで単調だった空間にリズムと変化を生み出す。来訪者がバサバサと続く緑の壁を通り抜けるのではなく、思わず立ち止まるような「驚き」を連続させることが狙いだ。「建築研究では、驚きが連続すると人が歩みを緩めることが知られている」とウィレムセン氏は説明する。

生態系への効果も期待されている。小川沿いではイラクサなど成長の早い植物を刈り取り、刈り取った草を持ち出すことで土地を栄養的に貧しくしている。こうした「貧栄養化」によってランの自生回復が期待されており、担当者はすでに今年のイラクサの丈が昨年より短くなったと話す。研究対象は生態系・生物多様性にとどまらず、気候適応や来訪者の体験にも及んでいる。ロンドンのエッピング・フォレストやパリのブローニュの森など、欧州の他の都市林との比較研究も進める。

「島」から都市の一部へ

デルフト工科大学でアーバン・フォレストリーを専門とするルネ・ファン・デル・フェルデ准教授は「アムステルダムの森は都市のなかの島のような存在だ」と指摘する。90年以上の歴史を持つにもかかわらず、地元市民に十分に評価されていないというのが、研究者たちの共通した見方だ。課題は、この森を社会・文化・気候変動への対応という都市の重要テーマに結びつけることだが、その具体的な形はまだ模索中だという。

在蘭日本人にとっても、アムステルダムの森はサイクリングや散策の身近なスポットとして親しみやすい場所だ。今後の管理が見直されることで、これまで見過ごしてきた景観の奥行きや生態系の豊かさに気づく機会が増えるかもしれない。ウィレムセン氏は言う。「都市林は決して完成しない」――その言葉は、この森が今もなお成長し続けていることを静かに示している。

情報源: NRC

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