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「政治家とメディアがちゃんとやれば、こんな作品は要らなかった」——コメディ「Mocros」が問うオランダの表現と多様性
社会 読了 2分

「政治家とメディアがちゃんとやれば、こんな作品は要らなかった」——コメディ「Mocros」が問うオランダの表現と多様性

犯罪と無縁のモロッコ系主人公、BNNVARAの新作が挑む"普通の物語"

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「タイトルを聞いた人のほぼ全員が、犯罪ものですかと尋ねてくる」——そう語るのは、BNNVARA向けコメディシリーズ「Mocros」を手がけたシャリフ・ナスルとサヒル・アマル・アイッサだ。モロッコ系オランダ人の若者を主人公に据えながら、「ギャランティ付きマフィアフリー」を標榜するこの作品は、オランダのテレビドラマの常識に真っ向から挑んでいる。主人公のスーフは表向き航空技術を学ぶ学生だが、内心は俳優としてのキャリアを夢見ている。制作者たち自身がエンタメ業界で感じてきた葛藤が、そのまま物語の骨格になっている。

犯罪者役しかオファーされなかった日々

二人が「自分たちで作る」と決意した背景には、俳優としての苦い経験がある。アイッサは「シリア行き戦闘員、ひったくり犯、スクーターに乗って怒鳴る若者、ドラッグの売人……オファーはいつもそういう役ばかりだった」と振り返る。ナスルもまた、テロ実行犯役で少なくとも7回アプローチを受けたと明かす。「断ると、その犯人には深みがあると言われるんです」。

こうした経験が積み重なり、アイッサは「このシステムに依存するのをやめよう」と考え始めた。依存するのではなく、自分たちの物語を自分たちで描く——その思いが8年越しで「Mocros」という形になった。企画段階では12話構成だったが、放送局との交渉を重ねる中で8話に絞り込まれ、結果として作品のテンポが増したという。

要職に多様性がなければ、企画も通らない

二人が強調するのは、個別の作品の問題だけにとどまらない構造的な課題だ。「高い地位に多様な背景を持つ人間が少なすぎる」とナスルは言う。以前、問題を抱えた学校を舞台にした企画に携わった際、家庭環境の複雑さを丁寧に描く内容が「ニッチすぎる」と却下され、「もっと犯罪要素を入れられないか」と求められた経験があるという。「ニュースで毎日取り上げられている話題なのに、です」と彼は皮肉をこめて語る。

「Mocro Maffia」の大ヒット以降、類似作品が量産されたことも、多様な表現が育ちにくい土壌を作った要因としてアイッサは指摘する。「成功したフォーマットを繰り返すことで、別の物語が入り込む余地がなくなった」。

「これが最後のこのテーマ」——次への扉を開けるために

プレッシャーは相当なものだ。アイッサは「もしこれが成功すれば、次の自由が生まれる。でも失敗すれば、また6年間業界で後退することになりかねない」と率直に話す。自分が他のドラマ制作者と外見が違うことへの意識、インポスター症候群との戦い——それでも、この作品を最後に「多文化間の葛藤」を主題にした創作は終わりにしたいという。

「この作品が他の作り手にとって扉を開く一本になれば」とナスルは語る。「Feuten(大学の上流階級カルチャーを描いた人気シリーズ)だって、実際の人口に占める割合は極めて少ない層の話だ。でも誰もがあれを楽しんで観た。ニッチというなら、あちらこそニッチなはずです」。

そして最後に放たれたナスルの言葉は重い。「政治家もメディアも、ちゃんと役割を果たしてくれていたなら、私たちが自分のコミュニティを社会に受け入れてもらうためにこれほど頑張る必要はなかった。もっと別のものを作れていたはずです」。在蘭日本人を含む移民・外国人コミュニティにとっても、「自分たちの物語は誰が、どのように語るべきか」という問いは、決して他人事ではない。

情報源: NRC

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