ナチス略奪絵画、対独協力者の孫娘宅で80年ぶりに発見
ゴウドスティッカー・コレクションの「少女の肖像」、認識しながら所持か
第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって奪われた絵画が、戦後80年以上を経てオランダの一般家庭の廊下に掛かったまま残っていた。ユダヤ人美術商ジャック・ゴウドスティッカーのコレクションから消えていた「少女の肖像」(トーン・ケルダー作)が、オランダ最大級の対独協力者とされるセイファルト中将の孫娘の自宅で発見されたことが明らかになった。
略奪美術品が一般家庭の廊下に
ゴウドスティッカーは、1940年5月のドイツ軍侵攻を受けて船でイギリスへ逃れようとしたが、船倉への転落事故で命を落とした。彼のコレクションはナチス・ドイツ第二の実力者ヘルマン・ゲーリングの手に渡り、同年10月にアムステルダムでオークションにかけられた。芸術探偵のアルサー・ブランドは、このオークションで「少女の肖像」を購入したのがセイファルト中将本人だったと見ている。セイファルトはドイツ武装親衛隊(ヴァッフェン-SS)傘下の「オランダ義勇軍団」の司令官を務めた人物で、1943年にオランダのレジスタンス活動家2名によって射殺された。絵画はその後、息子を経て孫娘へと引き継がれたとみられる。
親族の告発が発覚のきっかけに
この事実を公にしたのは、自身がセイファルト家の親族であることを知らずに育った一人の男性だ。セイファルト家は戦後に姓を変えており、男性は成人してから初めて自分の家族の過去を知った。彼は恐怖と羞恥心を抱えながらも、あるセイファルトの孫娘と話し合いの場を持った。その際、孫娘は廊下に飾られた絵画を男性に示したという。男性が密かに録音した会話の記録には、孫娘がそれが略奪美術品であると認識していた可能性を示す発言が収められていたと報じられている。絵画の裏には「ゴウドスティッカー・コレクション」と記されたシールが今も貼られていた。男性はオランダの新聞「デ・テレフラーフ」に対し「家族の過去への深い恥と、長年の沈黙への怒りを感じる。絵画はユダヤ人の正当な権利者に返還されるべきだ」と語った。
法的強制力なく、返還は当事者間の協議に
ブランドはNOSの取材に「ゴウドスティッカーというユダヤ人の絵画が、最大級の協力者の手元で見つかった。第二次世界大戦の全ての悲しみがここに集約されている」と述べた。問題を複雑にするのが法制度の壁だ。オランダの現行法では、略奪美術品の返還を民事的に強制する手段が限られており、男性はブランドに協力を求めることで世論への訴えという手段を選んだ。米国在住のゴウドスティッカー遺族は返還を強く求めており、孫娘側は「家族と協議して短期間での返還の意向があるか確認する」と述べているという。在蘭日本人を含む多くの人にとって、この事件は略奪美術品の問題が今なお過去のものではなく、現代の家庭の壁に生きている現実を改めて示すものといえる。
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情報源: NOS Algemeen



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