ペット放棄の獣医通報、3年で3倍に――深刻化するオランダの動物福祉危機
コロナ禍の衝動買いとインフレ家計圧迫が重なり、被害が深刻化
オランダの動物福祉監察機関LID(Landelijke Inspectiedienst Dierenwelzijn)に対し、獣医師から寄せられる深刻なペット放棄・虐待の通報件数が急増している。2023年には100件だったものが、2025年には321件へと3年間で3倍に膨らんだ。2024年と比べると件数はわずかに減少したものの、LIDによれば個々のケースの深刻さは増す一方だという。
「爪の伸び過ぎ」から「無治療死」へ――変わる通報の実態
LIDの検査官、イェルコ・デ・ロイテル氏はオランダの公共放送NOSに対し、「以前は爪が伸び過ぎていたり毛が絡まっていたりと、比較的軽いケースがほとんどだった」と語る。「しかし今は最悪のケースとして、まったく医療ケアを受けていない動物や、一度も獣医に連れて行かれないまま死んでしまうケースも見られるようになった」と現状を説明した。実際の現場では、衰弱しきった猫や犬、汚物にまみれた住環境で暮らす動物、そして死亡が確認されるペットも報告されている。
昨年12月に就任したばかりのLID長官、ガボル・ファン・デル・ストラーテン氏は、この問題はLIDだけでは解決できないと明言する。食品・製品安全局(NVWA)、警察、獣医師会、そして各地方自治体との連携を強化することが不可欠だとし、今後の体制整備に向けた取り組みを進める姿勢を示した。
コロナ禍の衝動買いとインフレが生んだ「ダブルショック」
LIDが指摘する背景要因は主に二つある。一つはコロナ禍に起きたペット購入ブームだ。外出自粛や在宅勤務が続く中で衝動的にペットを迎えた家庭が多く、飼育の準備や知識が不十分なケースが少なくなかった。もう一つは、コロナ後のインフレによる低所得世帯への家計圧迫だ。なかでも獣医費の高騰は家計に重くのしかかっており、治療費を用意できずにペットの医療を先送りにしたり、最終的に放棄せざるを得なくなるケースが増えているとみられる。
在蘭日本人にとっての注意点
オランダでペットを飼っている在住日本人にとっても、この問題は無縁ではない。生活費の上昇が続く中、突発的な医療費への備えは重要だ。また、近隣で動物の放棄や虐待が疑われる状況を目にした場合は、**通報専用番号「144」**に連絡することができる。LIDはこの番号を通じて寄せられた情報をもとに実態把握と対応を進めており、市民からの積極的な協力が問題解決の鍵になるとしている。
広告掲載にご興味のある方は こちら
情報源: DutchNews



/https://content.production.cdn.art19.com/images/c8/0d/d3/2a/c80dd32a-cdd0-4ac0-926c-6cf20d3f5a14/92419bbca54f79b205275f8406c01019e3992c550445433b216528be175d641cb71d24185c0a7433adae777e927c30531d58cb1af6f0ac1d444ab517564dba48.jpeg)
