オランダ船でハンタウイルス集団感染——致死率50%の「アンデスウイルス」とは何か
南米での鳥観察がきっかけか。RIVMは一般市民への感染リスクは低いと説明
オランダのクルーズ船「ホンディウス」で、ハンタウイルスの一種「アンデスウイルス」による集団感染が発生した。これまでにオランダ人夫婦を含む乗客3名が死亡し、さらに複数の乗客が欧州各地の病院で治療を受けている。船はカーボベルデ沖からカナリア諸島へ向かう途中、乗客3名をヘリで緊急搬送した。うち1名はライデン大学医療センター(LUMC)に、別の1名はドイツのデュッセルドルフの病院へ移送された。スイス・チューリッヒでは帰国後に発症した男性が入院中で、南アフリカではICUに搬送された乗客もいる。
「アンデスウイルス」とはどんウイルスか
ハンタウイルスには60以上の種類があるが、今回確認されたアンデスウイルスは主に南米に分布する型で、ヒトからヒトへの感染が確認されている数少ないハンタウイルスの一つだ。RIVM(国立公衆衛生環境研究所)のウイルス学者シャンタル・ロイスケン氏によれば、ウイルスはコメネズミの糞・尿・唾液に含まれており、それらを吸い込んだり接触したりすることで感染する。感染すると高熱や呼吸困難が生じ、重症化すると肺や心臓に深刻なダメージをもたらす。致死率は35〜50%と非常に高い。
感染経路について、アルゼンチン当局関係者2名がAP通信に語ったところによると、死亡したオランダ人夫婦はアルゼンチン滞在中にバードウォッチングへ出かけており、その際に感染した可能性が最も高いとされている。ロイスケン氏も「少なくとも1名の乗客がアルゼンチンの上陸時に感染したと見られる」と述べており、アルゼンチン政府もこのシナリオを最有力視している。
感染はどれほど広がるのか
「コロナや季節性インフルエンザのようには広がらない」とロイスケン氏は強調する。アンデスウイルスは濃厚接触を介して伝染するものであり、適切な隔離措置を講じれば封じ込めは十分可能だという。実際、2018〜2019年にアルゼンチンで30件超の感染が確認された際も、迅速な対応によって拡大を抑制できた前例がある。ロイスケン氏は「ウイルスの特性はよく把握されており、何をすべきかもわかっている。今回の発生場所が船という閉鎖空間であることも、封じ込めには有利な面がある」と述べた。
LUMCで患者を受け入れている臨床微生物科のアン・フォッセン医師は、アンデスウイルスに対する特異的な治療薬は存在しないと説明する。現状の治療は、呼吸機能をできるだけ維持し、二次感染を防ぐという対症療法が中心だ。LUMCは重症呼吸器感染症の専門施設であり、同病院がこの型のウイルス患者を受け入れるのは今回が初めてとなる。
在蘭日本人への影響と今後の注意点
RIVMは現時点でオランダ国内の一般市民への感染リスクは低いとしており、過度な心配は不要と見解を示している。ただし、今後南米を訪れる予定がある場合は注意が必要だ。ロイスケン氏は「キャンプ、ハイキング、薪割りといった農村部での野外活動は、ライム病と同様にリスクが高まる」と指摘する。現在、南米渡航者に対するアンデスウイルスに関する公的な注意喚起はほとんど行われていないが、それはあくまでウイルスの発生頻度が低いためだという。在蘭日本人も、南米への渡航前には現地の感染状況や野外活動のリスクを確認しておくことが望ましい。WHOも同便を利用した乗客の追跡調査を進めており、今後の続報が待たれる。
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情報源: NOS Algemeen



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