オランダ王女2人の殺害計画疑いで33歳男が出廷——室内から斧2本と「虐殺」メモ
アマリア王女との交際を妄信か、精神科治療歴も明らかに
オランダ王室を標的にした脅威事件として、国内外に衝撃を与えた一件の審理が5月、ハーグの裁判所で始まった。被告人はアンネ・ロムケ・ファン・デル・Hと名乗る33歳の男性。王太子女アマリアと妹のアレクシア王女の命を脅かしたとして起訴され、初回の予備審問に出廷した。弁護士を通じて容疑を否認しているが、裁判所は拘束継続を命じており、事案の深刻さをうかがわせる。
ホテルの一室で発見された斧と「虐殺」のメモ
事の発端は今年2月にさかのぼる。男が宿泊していたホテルのスタッフが「人を殺す」という叫び声をバルコニーから上げ続ける男の異常な様子を警察に通報した。駆けつけた警察官が室内を確認すると、アマリア王女とアレクシア王女の名前と「Sieg Heil」という文字が柄に彫り込まれた斧が2本発見された。さらに2人の名前と「bloedbad(虐殺)」という単語が記されたメモも見つかっている。ただし検察官は法廷で、そのメモには他にも多数の言葉が書かれていたことを認めた。
警察の事情聴取で男は、アマリア王女と「交際関係にある」と信じていたと供述。斧については「アマリア王女とポーランドでサバイバル訓練を行うために必要だった」と説明したという。弁護側はこの供述を根拠に、「王女たちに危害を加える意図はまったくなかった」と主張し、精神科での治療を受けられるよう身柄の釈放を求めた。しかし裁判所は検察側の主張を支持した。検察によれば、男は昨年すでに精神科クリニックに入院した経歴があり、その際に「人を刺すことを恐れていない」と発言していたとされる。また宮殿の庭園付近で男の姿が目撃されていたことも、裁判所が拘束継続を「十分に重大」と判断した要因の一つとなった。なお、男には今回の事件とは別に、複数の警察官に対して侮辱的な発言を行ったとする容疑も加わっている。
王室警護と精神保健の交差点
この事件は、王室の安全警護と精神医療の連携という、オランダ社会が抱える課題を改めて浮き彫りにしている。被告は過去に精神科治療を受けていたにもかかわらず、今回のような事態に至った。弁護側が引き続き精神科治療の必要性を訴えており、今後の審理では被告の精神状態の鑑定も焦点になるとみられる。次回の形式審理は7月27日に予定されている。在蘭日本人にとって直接的な影響は限られるが、オランダ王室をめぐる治安上のリスクや、精神疾患を抱える人物への社会的サポート体制のあり方について、広く議論を呼ぶ可能性がある。
情報源: DutchNews



