オランダで入院期間の短縮進む―在宅医療が本格化し患者は遠隔監視
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なぜ早期退院→自宅医療へ?
オランダ全土で、軽度の脳卒中・心臓疾患・急性膵炎・感染症などに対して、入院期間を大幅に短縮し、自宅での療養を支援する取り組みが加速している。
背景には以下の理由がある:
・高齢化に伴う医療需要の増加
・医療人材不足、病床逼迫
・入院患者の感染リスク回避
・技術革新による遠隔モニタリングの普及
実際の「バーチャル医療」現場
いくつかの病院での導入実績は以下の通り:
Isala病院 @ズヴォレ
・ 今年だけで6,500日分の入院を自宅療養に移行予定
・軽度の脳卒中・心筋梗塞患者をスマートパッチで遠隔監視し、看護師が毎朝電話でフォロー
ETZ病院 @ティルブルフ
・静脈内抗生物質の自宅投与で年間4,000〜5,000日分の入院削減
Gelre病院 @アペルドールン
・ 2023年には3,500日分の入院を削減
スマートパッチは、心拍数・呼吸数などを24時間測定し、異常値が出た場合に看護師が即座に対応できるシステム。
患者側の利点と不安
多くの患者は自宅での療養により、
・睡眠の質が向上
・感染リスクが低下
・治癒スピードが向上
といった恩恵を感じている。一方で、以下のような不安の声も根強い:
・「病院にいないのが不安」
・「技術機器の操作が難しい(特に高齢者・外国人)」
・「異変があった場合どうすれば?」
患者団体「Patiëntenfederatie Nederland」は、退院後の説明や連絡体制の改善を強く要望している。広報のTijmen Hendriksen氏は「誰も長く入院したくはない。でも、“安全に帰れる”という確信が必要なんです」と語る。
医療制度と財政面のギャップ
現時点では、「自宅医療」によるコスト削減効果は限定的。医療経済学者Peter van der Voort氏は「実際の滞在日数に関係なく、病院には同じ報酬が支払われる。制度が追いついていない」と指摘。
保険会社VGZも、「短期的には投資が必要だが、中長期的には節約につながる」「より多くの患者が参加すれば効率化できる」と述べている。
新しい医療への移行は進むか?
オランダ政府と医療界は、病院=治療の場という固定観念の転換を目指しているが、導入ペースには地域差が大きい。
ラドバウド大学医療センターの研究者Simone van Dulmen氏は、「医療従事者の理解が追いついていない。医師の姿勢次第な部分も大きい」と現場の“温度差”に言及している。
情報源: HARRO LIFE (legacy)


