オランダで疥癬(かいせん)感染が急増、保育所や高齢者施設で拡大
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パンデミック以降に感染者数が急増
オランダでは新型コロナウイルスのパンデミック以降、疥癬(かいせん)の感染者が急増している。国立公衆衛生機関のデータによると、2014年には人口10万人あたり約100人だった感染者数が、2020年には260人に上昇。2023年にはさらに約4倍に達し、深刻な公衆衛生問題となっている。
感染の中心はこれまで若者層、特に学生だったが、現在では保育施設や高齢者介護施設にも感染が拡大している。
疥癬(かいせん)とは?
原因
ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が皮膚に寄生
症状
強いかゆみ、発疹、赤いぶつぶつ
潜伏期間
感染から2週間で他人に感染可能となり、症状は4〜6週間後に出る
感染経路
肌と肌の接触や、衣服・寝具・家具などを介して感染。
特徴
ヒゼンダニは皮膚外でも数日間生存できるため、徹底した洗濯・消毒が不可欠。
忘れられた病気が医療現場を直撃
エラスムス医療センター(Erasmus MC)は、疥癬の感染拡大を受けて全国規模の研究プロジェクトを開始した。
公衆衛生研究者で調査責任者のウィルマ・ストルク(Wilma Stolk)は、「疥癬は長い間軽視されており、研究や診断のノウハウが不足していた」と指摘する。
調査の主な内容
自宅で使える自己検査キットの導入可能性
医師の診断支援となる画像データベースの構築
洗濯機の排水水からの感染早期検出の研究
実例:高齢者施設での集団感染
2023年、フリシンゲンにある「Scheldehof高齢者施設」では、ある入居者の疥癬が見逃され、爆発的な感染拡大を引き起こした。
この入居者は免疫力が低下しており、皮膚に寄生していたヒゼンダニが大量に繁殖。感染が空気中に広がったとみられる。
感染拡大の規模と対応
127人の入居者すべてが軟膏による治療を受ける
450本の治療用軟膏と200本の歯ブラシを使用
職員も複数名が感染し、3度も再感染したケースも
2週間おきに徹底的な清掃と治療を2回実施
ある看護職員は、「家族に感染させるのが怖くて、家に人を呼べない」と不安を語った。
今後の課題と提言
疥癬は皮膚疾患と誤診されることが多く、特に高齢者や車椅子利用者は診断が難しい
接触者全員を同時に治療しないと、再感染リスクが極めて高い
「学生の病気」とされてきた偏見により、高齢者施設での対応が遅れがち
もはや過去の病気ではない
疥癬は今や、若年層から高齢者まで広がる重大な公衆衛生上の課題であり、単なる「昔の病気」では済まされない。研究チームは、今回の全国調査を通じて、早期診断・予防体制の強化と国民への正しい情報提供を目指している。
今後は、自治体・医療機関・介護施設が連携し、国を挙げた対策が求められる。
情報源: HARRO LIFE (legacy)


