就労意欲があっても働けない移民が33万人超、「見えない人材」の実態
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オランダ社会に眠る未活用労働力
オランダ政府の主要諮問機関「移民諮問評議会(Adviesraad Migratie)」は、オランダ国内に就労可能でありながら、雇用に就いていない移民が約33万1,000人に上るとする報告を発表した。この数は、オランダ第5の都市アイントホーフェンの人口(約23万人)を大きく上回る規模だ。
評議会のMonique Kremer議長は「移民は社会との接点を持てず、雇用者は人材確保に苦しみ、国家は税収を失っている」と指摘した。
移民出身国別の特徴と就労状況
報告によれば、未活用労働力として最も多いのはトルコ系とモロッコ系移民で、それぞれ約5万人。次いでシリア系が約3万人で、特に45歳未満のシリア系移民では、就労していない割合が60%を超える。
労働移民や高技能労働者における未就労率は低いが、家族を呼び寄せる移民(nareizigers)や庇護希望者(asielmigranten)では、半数以上が職を持たないままになっている。
女性に集中する雇用機会の欠如
移民女性の23%超が失業状態で、男性(約15%)よりも顕著に高い。多くの女性はパートナーに帯同して来蘭するが、自治体や社会制度上「見えない存在」として扱われがちで、支援にアクセスしにくい現実があるという。
言語と資格制度が「壁」に
オランダ語能力は、就労の最大障害とされる。庇護申請者は、居住許可が下りるまで語学教育を受けられず、受講後も自治体ごとに質がばらばらで、十分な水準に達しないことが多いと報告されている。
また、出身国の学歴や資格がオランダ国内で評価されない事例も多く、たとえ博士号や医師免許を持っていても、全く異なる職に就くケースがある。報告書では、トルコの心臓専門医が中古車販売をしている事例が紹介された。
他国との比較と今後の政策提言
ドイツやベルギーでは、外国資格保有者への補完教育制度が整っており、迅速な労働市場参入が可能だ。オランダでもUMCフローニンゲン(大学病院)が類似の取り組みを始めているが、まだ限定的で遅れを取っている。
移民諮問評議会は今後、未活用人材の背景をより詳細に分析し、「言語能力」「雇用者側の選考慣行」「マッチングのズレ」という3つの観点から改善策を提示していく予定だ。
雇用機会の創出
報告書は、移民の就労促進が税収拡大、労働力不足の解消、社会統合の促進に直結すると強調する。制度的・社会的障壁の除去と並行して、企業や教育機関の協力も欠かせない。
就労を通じた「恩返し」を望む移民の声に応える制度改革が、今まさに問われている。
情報源: HARRO LIFE (legacy)


