オランダの森林火災が急増 ― 気候変動が植生を変え、火災リスクが拡大
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異常気象で火災急増
2023年には記録的な乾燥により森林火災が405件発生。一方、2024年は降水が多く170件にとどまったが、2025年は4月時点で既に328件と、再び火災リスクが上昇。
国家公共安全研究所(NIPV)の山火事調整官Jelmer Dam氏によれば、このうち80%が実際の火災だったとされ、燃焼の背景には乾燥と植物相の変化があると指摘している。
気候変動が植生を変え、消防に課題
ブラバント南東部の安全局のWally Paridaans氏は、近年の気候変化でオランダ全域の植生が変化していると語る。
たとえば2020年にデウルンシェ・ペール(Deurnsche Peel)の泥炭湿原で起きた、710ヘクタールを焼失した大火災以降、地面を湿らせる取り組みが行われた結果、火のつきやすいシダ類が減り、落葉樹や低木に置き換わった。だが「新たな植生に対する消防の経験が少ない」という新たな課題も生まれている。
燃えやすい外来種と枯死木のリスク
フライエ大学(Vrije Universiteit)の生態学者Hans Cornelissen教授は、ロビニア(ニセアカシア)のような外来樹種が乾燥した砂地に広がっていると説明。樹皮がはがれやすく、高密度で燃焼エネルギーが高いため、火災の際には激しく燃える。
また、フェルウェ(Veluwe)地域ではダグラスモミが大量の樹脂を含んだ枯れ木を落とすため、酸素供給が多く燃え広がりやすい。黒松の大量枯死も観察されており、枯死木は生態系に貢献する一方で、火災リスクを高めているとされる。
もうひとつの要因:窒素と草地
Dam氏によれば、窒素汚染により草本類が低木草原に増え、燃えやすい草が優勢になっている。また、Mart Vlam研究員は、森林の下層植生(草・ハーブ)が春の早い段階で乾燥することが、さらなる火災リスクを生んでいると説明。
降雨の質が変化、乾燥期間は長期化
Dam氏は、気候変動が火災リスクを複合的に高めていると説明。「雨は短時間に集中し、乾燥期間は長く頻度も増加。冬は暖かく湿っているため、植生の成長期間が延び、乾きやすくなる」と指摘。
備えは十分か?「始まったばかり」
「もともと水の豊富な国だが、自然エリアには燃料が多く存在する。準備はまだ不十分だが、対応は始まっている」とDam氏。
消防局は、大型消火装備を配備するなどの初動対応を強化中で、今年4月にはドリューネ(Drunen)での火災に出動した事例もある。
社会的被害への対応が不足
一方、政府政策に対しては「物理的な防災に偏りすぎており、社会的影響が見過ごされている」という指摘が出ている。政府諮問機関「科学政策評議会(WRR)」は、低所得者や孤立した人々が熱波や避難時に大きな打撃を受けやすいと警鐘を鳴らす。
たとえば、小さく暑い住環境に住む学生や、孤立しがちな高齢者が避難でさらに孤独に陥るといった具体例も報告されている。
気候に強くなるには社会インフラが鍵
WRRは、気候対応には図書館や駅、公共施設など「社会的避難所」となる場の整備が必要だと提言。これらは、情報共有、つながり、緊急時の安全拠点として機能し、社会の災害耐性を高めるうえで不可欠だとしている。
情報源: HARRO LIFE (legacy)


