NATOの北極ミッションに向け準備加速―米のグリーンランド発言受け緊張感
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オランダが部隊展開を検討
オランダ政府は、NATOによるグリーンランドおよび北極地域の安全保障ミッションへの参加に向けて、部隊展開の準備を進めている。De Telegraaf紙の報道によれば、海兵隊、F-35戦闘機、潜水艦、陸上部隊などの派遣について、政府内で協議が進められているという。
この動きは、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏がグリーンランドの取得を示唆したことに端を発した国際的な緊張の高まりを受けたものである。NATO内では、グリーンランドと北極圏における軍事的空白を埋め、同地域の安定と同盟の結束を保つ必要性が議論されている。
極寒地作戦における国の独自性
オランダが候補国として注目されているのは、北極条件下での作戦遂行能力に長けている点にある。オランダ海兵隊はノルウェーでの訓練を通じて、極寒地での生存技術、スキーによる移動、ナビゲーション、上陸作戦などを習得しており、これはNATO諸国の中でも特異な強みである。
海兵隊のエドウィン・ホフマ大佐(Colonel Edwin Hofma)は、「極寒地で作戦を展開できる国はそう多くない。オランダは上陸艦から戦力を展開する能力に優れており、その点で大きく貢献できる」と語っている。
対ロシア訓練と実戦的演習の蓄積
オランダ軍は2025年、ノルウェー北部(ロシア領ムルマンスクから約200kmの距離)で行われた『ジョイント・ヴァイキング演習(Joint Viking)』において、他6カ国からの約9,000人の兵士とともに、1,000人規模の部隊を展開した。
この演習では、スノーモービル、装甲車、小型ボートを用いた高速移動の訓練が行われ、夜間に敵目標を急襲または艦艇に位置情報を伝達するシナリオが実施された。部隊は1週間分の乾燥食料を携行し、雪を溶かして水を確保するなど、実戦さながらのサバイバル訓練を行った。
こうした訓練は、ロシア軍による北極圏での侵攻を困難にする能力をNATOが維持・強化する上で大きな役割を果たしている。
海上戦力と潜水艦も極地に対応
オランダ海軍もまた、水上艦および潜水艦を用いて北極海に展開している。2025年夏には、オランダ指揮下のNATO艦隊がバレンツ海(Barents Sea)で訓練を行った。
同訓練では、氷と冷水が艦艇に与える影響への対処法が実践され、オランダ海軍の実戦対応力が高く評価された。
旗艦「デ・ロイテル(Zr. Ms. De Ruyter)」の指揮官アルヤン・ワールナー大佐(Commander Arjan Warnaar)によれば、「ロシアの哨戒機が上空を飛行するなど監視行動が行われたが、接触は“完全にプロフェッショナル”だった」と報告されている。
政治的・外交的な立場表明も進む
NATO事務総長であり、元オランダ首相のマルク・ルッテ(Mark Rutte)は、NATO主導による北極地域の防衛強化を支持する立場を明言している。これに呼応し、オランダの防空能力や潜水艦戦力の活用が想定されているが、最終的な展開の可否は今後の協議に委ねられている。
臨時政権下の外務大臣デイヴィッド・ファン・ウィール(David van Weel)は、下院で「NATO内での米欧関係を安定させる手段として、オランダの貢献を前向きに捉えている」と発言した。また、「グリーンランドの領土一体性およびデンマークの主権は交渉の余地がない」とも強調している。
議会では、キリスト教民主アピール(CDA)のデルク・ボスワイク議員(Derk Boswijk)が中心となり、グリーンランドの地位とデンマークへの外交的支援を政府に求める動議が、11党の賛同を得て提出された。
補足情報
トランプ氏は2019年にもグリーンランドの「購入」を提案し、当時も国際的な非難と議論を巻き起こした
情報源: HARRO LIFE (legacy)


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