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産後の運動が難しい理由、社会的期待と体の負担が壁に
社会

産後の運動が難しい理由、社会的期待と体の負担が壁に

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無言の期待が母親の運動習慣を奪う

ムリエ研究所(Mulier Instituut)が行った新たな調査で、出産後の母親が運動やスポーツ習慣を再開・継続することが極めて困難である背景が明らかとなった。

調査対象は、かつて定期的にスポーツをしていた22人の母親たちへのインタビュー。彼女たちの声を通して、個人的な「やる気の問題」ではなく、社会や家庭が生む構造的な障壁が浮かび上がっている。

障壁1:「育児責任」という社会通念

調査によれば、「育児は主に母親が担うべき」という無言の規範が、運動に充てる時間・空間・精神的余裕を奪っている。パートナーとどのように役割分担しているかで、運動の継続可能性に大きな差が出る。

「母親とパートナーがどのように“時間”を交渉し、捻出するかが重要だった」(報告書より)

障壁2:時間はあるが質が足りない

時間が取れたとしても、重要なのは「遮られず、集中できる質の高い時間」。報告書では、次のような実感が語られている。

「30分運動できても、途中で泣き声や呼び出しがあると意味がない」

「そもそも自分のことに集中して良いと感じられない雰囲気がある」

また、「どのくらいの時間があれば十分か」は、スポーツの種類や本人の目標によって異なるという点にも注目している。

障壁3:妊娠・出産の身体的ダメージ

運動再開を妨げる要因として、身体的な困難も大きな壁となっている。妊娠中は多くの女性がそれまでのトレーニングを一時中断せざるを得ず、出産後も長期にわたる回復期間が必要となる。こうした過程の中で、体力や筋力が低下し、かつての自分との違いを強く意識するようになり、そのギャップがフラストレーションへとつながることも少なくない。

「個人の意志」だけでは決まらない

ムリエ研究所は、運動再開の是非を左右するのは以下の複合的要因だと結論づけている。

・時間と体力の制約

・運動経験の有無やフィットネスに対する価値観

・パートナーや家族からの支援の度合い

・社会的な「母らしさ」の期待や性別役割意識

同研究所は「スポーツは個人の趣味や意志ではなく、社会的な構造に組み込まれた行動だという前提を忘れてはならない」としている。

背景:ムリエ研究所とは?

オランダを拠点とするスポーツ・社会政策研究の専門機関で、スポーツ参加率、ジェンダー、健康、青少年支援などに関する社会調査を基に政策提言を行う。

参考

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