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育児休暇給付の削減案、男女平等の進展を後退させる可能性
政治・行政

育児休暇給付の削減案、男女平等の進展を後退させる可能性

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給付削減案に専門家が懸念

オランダ政府が検討している育児休暇給付(parental leave benefits)の削減案について、専門家は「男女平等の進展を後退させる可能性がある」と警告している。

公共放送NOSによると、研究者たちはこの政策が特に男性に大きな影響を与える可能性を指摘している。一般的に男性の方が女性より平均所得が高いため、給付が減ることで父親が育休を取るインセンティブが弱まる可能性があるためだ。

オランダ社会研究所の研究者であり、社会経済評議会の休暇制度アドバイザーでもあるアンネ・ルーターズ(Anne Roeters)氏は次のように述べている。

「この変更はほぼ確実に父親の育休取得を減らすでしょう。社会的に“男性が主な稼ぎ手”という意識があるため、父親に休暇を取ってもらうのはもともと難しい。職場での抵抗もあります。そこに給付削減が加われば、さらに障害が増えることになります」

すでに金銭面が最大の壁

実際、父親が育児休暇を取らない理由として最も多いのが経済的理由だ。多くのカップルは「育児を平等に分担したい」と考えているものの、オランダ統計局(CBS)の調査では実際に平等に分担できている家庭は10家庭に1つ程度にとどまっている。

ユトレヒト大学のマラ・ヤークス(Anne Roeters)教授はこう指摘する。「給付を減らすことは、この10年間で男女平等を進めるために行われてきた大規模な投資を考えると、大きな後退です」

この10年で拡大した父親の育休

10年前、父親が子どもの誕生時に取得できた有給休暇はわずか2日だった。

現在は制度が拡充され、雇用されている男性は

パートナー休暇

育児休暇

を合わせて合計3.5か月の有給休暇を取得できる。社会経済評議会などの研究によると、父親が育休を取得すると

家庭内での男女平等が進む

職場での平等にも好影響

経済や国全体の豊かさにもプラス

といった効果があるとされている。また国際比較では、給付が普段の給与に近いほど男性の育休取得率が高くなることも分かっている。

高所得層が主な対象

政府案では、月額総収入5,294ユーロ以上の人を対象に給付を引き下げる。最も収入が高い層では、最大926ユーロの減額となる可能性がある。

例えば、月収6,617ユーロ(総額)の場合、

育休給付:3,705.52ユーロ

減額率:約44%

となる計算だ。5,294ユーロ〜6,617ユーロの所得層でも給付は減るが、減額幅はやや小さくなる。ヤークス教授は「最終的な判断は政治の問題」としつつも、「家庭でも職場でも男女平等を進めたいなら、この政策は賢明とは言えません」と述べた。

企業側からも懸念の声

一部の業界では**、労働協約(CAO)**によって育休中の給与補填が追加されている場合もある。108の主要なCAOのうち24の協約では、パートナーが育休中も給与が全額支払われる。しかし、企業団体AWVNは今回の政府案について懸念を示している。

同団体の広報担当者は「この提案は、育休を取りたい親にとってマイナスにしか働かない可能性があります。CAOで追加補填があっても、給付が削減された場合に企業がどう対応するかは不透明です。賃金もすでに上昇しており、企業はコスト管理を迫られています」と述べた。

EU指令との関係

EUのワークライフバランス指令では、加盟国に対し男性が育児休暇を取得できるよう、経済的に可能な制度を整えることを求めている。今回の削減案は、その理念とも矛盾する可能性があると指摘されている。

補足情報

オランダの育児休暇制度では、通常「給与の70%程度」が給付の目安とされているが、上限が設けられているため高所得者ほど実質的な減額が大きくなる。

オランダでは近年「父親の育休取得率を高める政策」が進められており、2019年以降段階的に制度が拡充されてきた。

参考

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