非常時どうする?オランダの防空壕、事実上「全滅」状態に
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今や忘れ去られたインフラ
オランダの自治体に存在するはずの旧防空壕(シェルター)の多くが、今では廃墟・転用・または完全に解体されており、「使える民間用シェルターがない」という調査結果が出た。これは地方行政専門誌 Binnenlands Bestuur による全国342自治体への調査に基づくものである。
冷戦中は核攻撃への備えとして地下鉄駅や独立型シェルターの建設に国が多額の予算を投入。だが、1986年に民間防護法が撤廃されたのを機に、管理責任が国から地方自治体に移管された。
8割以上が「何の政策もなし」
調査に回答した190自治体(人口約1,070万人分)のうち:
116自治体が「防空壕なし」と回答
74自治体が「ある」と認識
そのうち35自治体のみが現状把握を実施
実際に保守管理方針があるのは13自治体のみ(=全体の17.6%)
記録との照合では、防空壕が「ない」と回答した自治体の一部にも、実は存在が確認されたケースがあった。
現存する防空壕の例と現状
例として、ロッテルダム市にあるSchiebroekselaanの小型シェルターが挙げられる。この防空壕は1952年の設計で、定員50名。木製ベンチとトイレ、非常食(クラッカーと水)があるが、設備は当時のまま。
ロッテルダムの地下鉄駅「Station Beurs」は最大15,000人を収容可能な大規模核シェルターとして設計されたが、いまや整備に数千万ユーロが必要とされており、再活用は非現実的だ。
多くの防空壕は“創造的転用”
維持費の問題から、多くの自治体は防空壕を以下のように転用:
ユトレヒト
芸術アトリエ
ナイケルク
ボウリング場
ヘルモント
学校の教室
アムステルダム(Vondelbunker)
イベントスペース・リハーサル室
法的・財政的な限界
多くの自治体は、「国に法的根拠がない限り、防空目的での維持はしない」と明言している。
一方、防衛文化遺産財団(Menno van Coehoorn財団)のラファエル・スミット(Raphaël Smid)氏は、全面的な整備には数十億ユーロ規模の投資と緊急立法が必要と警告。全国民を守るためのシェルター整備は「実質的に不可能」としている。
アムステルダム市も同様に、現在の脅威は核ではなく「ハイブリッド戦争(サイバー攻撃など)」だとして、旧来のシェルター再活用には否定的である。
現代の備えはシェルターではない
オランダは今や実質的にシェルターのない国となっている。かつての冷戦時代の遺産は、今や芸術や市民活動の場に姿を変えた。
だが、地政学的リスクや自然災害などへの対応として、本格的な民間防護体制の再構築を求める声も今後高まる可能性がある。
情報源: HARRO LIFE (legacy)


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