メインコンテンツへスキップ
「ほぼ無料の保育制度」案に厳しい評価─助言機関が政府に最悪評価を下す
政治・行政

「ほぼ無料の保育制度」案に厳しい評価─助言機関が政府に最悪評価を下す

この記事をシェア ✓ コピーしました

📦 この記事は旧 HARRO LIFE(https://harrojp.com/articles/051225-2)からの移行アーカイブです。

制度の概要と導入予定時期

オランダ政府は、2029年に「働く親向けの保育と学童保育をほぼ無料化する制度」を導入する計画を進めている。この新制度は、現行の保育手当を廃止し、利用者が直接負担する保育費用を大幅に軽減する仕組みだ。

目的は以下の通り:

・保育の金銭的ハードルを下げ、より多くの親が就労復帰または労働時間を増やすことを促す

・慢性的な労働力不足の改善につなげる

・保育手当制度に伴うトラブルからの脱却

諮問機関「導入すべきではない」

しかし、内閣に対し法律案の実現可能性を審査・助言する「規制負担評価諮問機関(ATR)」は、この制度案に対して最も厳しい「導入不可」評価を下した。

主な懸念点は以下の通り:

・制度導入により保育ニーズが爆発的に増加する可能性

・現在でも6,000人以上の保育士が不足しており、導入後はさらに20%の需要増が見込まれる

・業界の逼迫が悪化し、かえって保育の質や提供体制に深刻な問題をもたらす恐れ

同機関の委員長 Marijke van Hees氏は、「既に人手不足に苦しむ業界に、さらなる需要を乗せるのは失望を呼ぶレシピだ」と警告した。

研究機関も同様の懸念

ATR以外にも、オランダ経済政策分析局(CPB)および社会文化計画局(SCP**)**といった公的機関の研究でも、以下の課題が指摘されている:

・待機リストの長期化

・保育事業者のコスト増加

・保育士の負担増

・親の就労促進効果が限定的である可能性

国会では賛否が交錯

この制度に対しては、政党の左右を問わず広い支持がある一方で、現実的な制度設計の難しさに懸念を示す議員も多い。

中道右派のCDA所属Judith Bühler議員は「私たちは“ほぼ無料の保育”を支持するが、制度の実現可能性は精査されるべき。問題が起きたらその場で対応すればいい、という姿勢では不安だ。」と発言。

左派連合GroenLinks–PvdAのMarjolein Moorman議員も制度支持の立場だが、保育士不足には別のアプローチがあると主張している。「例えば育児休暇の延長です。乳児保育は人手が必要で負担も大きい。親にとっても、子どもにとっても良く、かつ人材の負担も和らぎます。」

制度見直しか、段階的導入か

政府がこの制度を原案通りに進めるのか、それとも再設計や段階的導入に踏み切るのかが今後の焦点となる。議会からの強い支持と、現場からの深い懸念が交錯する中で、政策のバランスが問われている。

参考

この記事をシェア ✓ コピーしました

📩 毎朝配信

明日のオランダニュースも、メールで読みませんか

毎朝、その日のニュース要約と音声版(ポッドキャスト)がメールで届きます。無料です。

無料で購読する

関連ニュース