「金目当て」批判に獣医師が反論――オランダで広がる業界への風評
高額請求への不満が渦巻く中、現場の声は届いているか
パーティーの席で「獣医師です」と自己紹介した途端、会話が診療費への愚痴に変わる――。ローセンダール在住の獣医師スティーブン・ブイス氏(54歳)は、そんな経験を繰り返してきたと語る。愛するペットの治療費が家計を圧迫するという市民の不満は理解できる。しかし、業界全体を「金の亡者(geldwolven)」と決めつける風潮には、もはや黙っていられないと感じたという。
「魔女狩り」と感じるほどの批判の連鎖
ブイス氏がADの取材に対して口にしたのは、「hetze(魔女狩り)」という強い言葉だった。獣医師というだけで法外な請求書の話を持ち出される。SNSでは実名を挙げた批判が拡散し、業界全体のイメージが損なわれている。「業界全体を一括りにすることは、現実をまったく正しく反映していない」と同氏は訴える。診療費の高低は動物の種類・症状・設備投資など多くの要因によって左右されるが、そうした複雑な事情は感情的な議論の中でかき消されがちだ。
オランダでは近年、ペットの医療費が社会的な議論のテーマになっている。物価上昇や最新医療機器の導入コストが診療費に反映される一方、ペット保険の普及率はいまだ限定的で、予期せぬ高額請求に困惑する飼い主は少なくない。消費者団体や議会でも獣医師の料金透明性を求める声が上がっており、業界は内外から圧力を受けている状況だ。
在蘭日本人にとっても他人事ではない
オランダで犬や猫を飼っている日本人にとって、この問題は身近なテーマといえる。緊急の夜間・休日診療では通常の数倍の料金が請求されるケースもあり、事前に見積もりを確認する習慣や、ペット保険への加入を検討しておくことが現実的な備えとなる。診療を受ける前に料金体系を確認すること自体は、オランダの獣医師会も推奨している対応だ。
ブイス氏の発言は、一人の獣医師の個人的な吐露にとどまらず、現場と市民の間に横たわる認識のギャップを浮き彫りにした。感情的な批判と当事者の現実認識をどう橋渡しするか――透明性の確保と対話の積み重ねが、この議論を前進させる鍵になりそうだ。
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情報源: AD



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