胃縮小手術、年間1万件超——体重だけでなく糖尿病も改善
肥満治療薬の台頭でも、BMI35以上には「命を救う選択肢」
オランダでは毎年1万〜1万2千件の胃縮小手術(マーフェルクレイニング)が実施されている。近年、肥満治療薬——いわゆる「GLP-1受容体作動薬」などの台頭によって件数の伸びは頭打ちとなっているが、外科医はこの手術が今もなお多くの患者にとって「命を救う医療介入」であると強調する。
手術が持つ意味——体重減少にとどまらない効果
胃縮小手術と聞くと、まず「やせるための手術」というイメージを持つ人が多い。しかし外科医が指摘するのは、体重の変化だけではない。手術後に糖尿病や睡眠時無呼吸症候群が改善・消失するケースが多く報告されており、これらの疾患は放置すれば心臓病や脳卒中のリスクを高める深刻な合併症だ。胃を小さくすることで食事量が制限されるだけでなく、体内のホルモンバランスや代謝そのものに変化が生じると考えられており、単なる「痩身」とは異なる医学的な効果が注目されている。
対象となる患者と治療薬との棲み分け
手術の主な対象は、BMIが35以上の重度肥満患者だ。食事療法や運動療法、さらには近年急速に普及した肥満治療薬でも十分な効果が得られない場合に、外科的手術が選択肢として浮上する。肥満治療薬の普及は手術件数の増加を抑制する一方で、重篤な症例への手術の有効性は変わらないとされており、医療現場では「薬か手術か」という単純な二択ではなく、患者の状態に応じた治療法の組み合わせが模索されている。
在蘭日本人にとっての視点
オランダで生活する日本人にとっても、肥満や生活習慣病は無縁ではない。現地の医療制度では、胃縮小手術は条件を満たした場合に健康保険(ジョルフゼーケリング)の適用対象となるケースがある。かかりつけ医(フイサルツ)への相談が出発点となるため、体重管理や関連する健康問題に悩む場合は、まず医師との対話を検討する価値があるだろう。「体重を減らす手術」という先入観を超えた、包括的な健康改善の手段として、この治療法を理解しておくことは有益だ。
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